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本田の専属分析官、ハリルJと世界の差は「状況判断のスピード」

[ 2017年9月1日 10:20 ]

W杯アジア最終予選B組   日本2―0オーストラリア ( 2017年8月31日    埼玉 )

本田の専属分析官を務める白石氏
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 本田の専属分析官を務める白石尚久氏(41)が6大会連続のW杯出場を決めた日本代表を分析した。現役時代はアルゼンチン、フランスなどでプレーし、引退後はバルセロナの下部組織コーチ、スペイン4部クラブのコーチなどを歴任。現在の拠点はメキシコで世界各国のサッカーを知る独自目線で侍ブルーについて語った。

 W杯で上位進出の鍵を握るのは監督の采配とマネジメント能力だと思う。サッカーにはアイデア、プランニングが無数にあり、良いも悪いもない。監督がやりたいスタイルを選手にいかに理解、納得させられるかが重要になる。良い例が10年W杯南アフリカ大会で16強に進出した日本代表。岡田監督は開幕直前に急きょ堅守速攻のスタイルを採用する決断を下したように見えたが、選手を同意させていたのでまとまった。サッカーは勝てば官軍。結果を出せば後付けで何でも言えるので、選手を納得させた上で勝つためのスタイルを追求してほしい。

 日本と世界で最も差を感じるのが状況判断のスピード。6月7日の親善試合シリア戦を全選手の視野に注目しながら見たが、スペースを認知しながら先の先を読んでプレーしている選手が少ない。特にFWやウイングの選手はDFに詰められると視野が下がる。状況判断にたけたスペインの選手と比べ、首を振る回数が圧倒的に少ない。前線の選手ではないが、スペイン代表MFシャビ(アルサド)は90分間で500回以上首を振る。周囲の状況を把握できれば選択肢の幅が広がり、技術、フィジカルの使い方も変わってくる。

 視野を広げることは、選手がピッチ上で試合をコントロールする力にもつながる。試合のレベルが上がるほど、試合前のプランニングと実際にフタを開けてみた事象が違うことは多い。W杯予選では酷暑など過酷な条件下の試合で終盤にパフォーマンスが低下した。試合の流れを感じられる選手が増えれば防げる可能性は高い。ゲームプランが崩れた時に試合をコントロールする自由を選手に与えれば、劣勢の展開でも負けないチームになるのではないか。

 ◆白石 尚久(しらいし・たかひさ)1975(昭50)年10月28日生まれ、香川県出身の41歳。明大在学中にアルゼンチンにサッカー留学。フランス2部リーグなどでプレーして27歳で現役引退。広告代理店勤務を経て、08年にバルセロナ下部組織のコーチ就任。スペイン女子1部クラブの監督などを歴任し、3月から本田の専属分析官を務める。

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2017年9月1日のニュース