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代表初招集に「嘘だろ…」 浦和DF宇賀神、雑草魂の新たな挑戦

[ 2017年5月30日 10:45 ]

浦和・宇賀神
Photo By スポニチ

 まさに「雑草魂」だ。浦和のDF宇賀神友弥はプロ8年目、29歳にして日本代表に初招集された。吉報が届いたのは25日、ACLの済州(韓国)遠征中だった。「正直、嘘だろと。また、おちょくられているのかと思いました」。これが偽らざる本音。だがすぐに表情は勝負師のそれに変わった。「年代別の代表歴もなくて、でもその分、そういう選手たちに負けたくないという反骨心でやってきました」と実感を込めた。

 ペトロヴィッチ体制で6年目を迎えた今季、左ウイングバックを主戦場とする宇賀神は「今季が間違いなくキャリアでベストなプレーが出来ている自負がある」と言う。攻守両面での強さ、左足でのクロスも年々精度を高めて来た。3バックの左に入る槙野のロングボールを、相手DFラインの裏で受ける動きはチームとしてもストロングポイントの1つ。槙野によれば、パスの強弱、ボールの回転数まで要求のレベルは高いと言う。同学年で公私とも仲の良い両者の“あうんの呼吸”も生きている。

 日本代表のハリルホジッチ監督の構想では左サイドバックでの起用が濃厚。派手なドリブルや個の突破力を持つわけではない。宇賀神は「走る、戦う、戦術理解度の高さを見せたい」と話す。槙野は「(原口)元気がドイツで成功して日本代表の核となるまでになったのも宇賀神に(良さを)引き出された部分が大きい」と話す。周囲を生かし、周囲から生かされる存在でもある。原口、宇賀神、槙野――かつて浦和の左サイドで相手の守備網を粉砕したトライアングルが日本代表で実現する可能性も出て来た。

 宇賀神自身、日本代表の試合は常にチェックしていた。「自分が(左SB)入った時には、もっと高い位置にポジションをとって攻撃参加したいな、という風に見てました」。29歳での初招集。当然、即戦力としてみなされる。残された時間は決して多くない。「今回がラストチャンスだと思う。合宿でどれだけインパクトを残せるか」と意気込みも半端ではない。

 浦和のユース出身では山田直輝(J2湘南)、原口元気(ヘルタ)に続き3人目の日本代表。それでも宇賀神は「2人とは違ったルートで選ばれた。2人は小学校時代からスーパーでしたから」と言う。ユース時代から全国に名を轟かせ、鳴り物入りでトップ昇格を果たし、早くから日本代表にも招集された2人。対して宇賀神はユースからトップ昇格出来ず、流通経済大を経由し、10年に浦和入り。そこからさらに8シーズンの歳月が流れている。「こういう形でも日本代表まで行けるというのを見せられた」と宇賀神。もちろん本当の勝負はここから。大輪の花を咲かすべく、雑草魂の新たな挑戦が始まる。(記者コラム)

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2017年5月30日のニュース