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久保“世代交代弾”前回ホームで敗れたUAE黙らせる先制ゴール

[ 2017年3月25日 05:30 ]

W杯アジア最終予選B組   日本2―0UAE ( 2017年3月23日    アルアイン )

<日本・UAE>前半、先制ゴールを決め吉田(右)らに祝福される久保(右から2人目)
Photo By 共同

 新エース誕生だ。日本代表は23日(日本時間24日未明)、FW久保裕也(23=ヘント)の1ゴール1アシストの活躍もあり、2―0で完勝。昨年9月にホームで敗れた借りを返し、敵地での国際AマッチでUAEから初勝利を挙げた。日本は勝ち点13としてB組2位を維持。3位のオーストラリアに勝ち点3差をつけ、6大会連続W杯出場へ向け大きな勝利を挙げた。チームは24日に帰国。28日に埼玉スタジアムでタイと対戦する。

 代表における位置づけが格段に上がった。激闘から一夜明けた成田空港。そろいの赤いパーカに身を包んだ久保は、本田らとともに集団の後方から姿を見せた。駆けつけたサポーターから歓声が上がる。到着ロビーを見渡せる2階にいた子供は、真っ先に「クボォー」と声を張り上げた。

 UAE戦で見せた一撃はエース誕生を予感させた。前半14分。DF酒井宏からのスルーパスをエリア内右で受け、角度のない位置から迷わず右足を振り抜いた。「この一戦に人生を懸けていたので、良かった」。獣を狩るハンターのような目で、代表初得点を振り返った。

 昨年11月15日のアジア最終予選サウジアラビア戦に続き、本田に代わる右FWとしてスタメン出場を勝ち取った。慣れないポジションで試行錯誤する中、同じサイドでプレーする香川の試合前の一言が、気持ちを軽くしてくれた。「自由にやってくれればいいから」。迷いは吹っ切れた。リーグ7戦5発と大暴れするヘントで見せるような、積極的なドリブルでの仕掛けを心掛けた。「このチームの中では、まだ若手なのでアグレッシブな部分を見せたかった」。その姿勢はアシストという形で実を結んだ。後半7分。右サイドでパスを受けると、仕掛けると見せかけて逆サイドに走り込んできた今野にピンポイントクロス。試合を決定づける追加点を演出した。

 A代表3戦目。経験は少ないが、ロシアW杯出場を左右しかねないUAE戦の重みは感じ取っていた。関係者によると試合前日から外部との連絡を極力、絶っていたという。試合当日は携帯電話すら手に取らなかった。「かなり集中していましたね。メンタルコントロールがうまくできた」。後半33分に足がけいれんして本田と交代したが、期待通りの大仕事をやってのけた。

 昨年のサウジアラビア戦。周囲のスタッフが「まだ早い」と制止する中、ハリルホジッチ監督は久保を先発に抜てきした。結果は試合開始早々に右膝を負傷し、前半のみで交代。それでも指揮官は今回も迷わず久保を送り込んだ。その起用に「今回こそはという思いがあった」と久保も応えた。

 本田が当時31歳の中村俊輔(磐田)からポジションを奪ったのは24歳時。現在、本田は30歳で、久保は23歳。10年南アW杯前と状況が重なるのは偶然か、必然か。日本サッカー界の新たな幕開けを感じさせるアルアインの夜だった。

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