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3・11忘れない!福島“魂の1勝”J3参入4年目で初開幕白星

[ 2017年3月12日 05:30 ]

<YS横浜・福島>完封勝利を収め、喜びを分かち合うDF茂木(右から2人目)ら福島イレブン
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 明治安田生命J3が開幕し、2試合が行われた。震災後初めて「3・11」当日に行われる試合に臨んだ福島は、アウェーでYS横浜に2―0と快勝。試合後、田坂和昭新監督(45)が涙を流すほど思いの詰まった一戦で、いまだに苦しみ続ける地元の人々に、勇気や希望を届ける白星を挙げた。

 立て続けのゴールで勝負は決した。福島は前半31分、ロングパスに抜け出したFW田村のボレーシュートで先制点を挙げると、2分後にMF星が頭で追加点。危なげなく無失点で切り抜け、J3参入4年目にして初めて開幕戦勝利を果たした。

 試合後の監督会見。「特別な日」に開幕戦を迎える意味について質問された田坂監督は「凄く自分の中で考えさせられていた。何としても勝たなければならない…」と言葉を詰まらせた。今季就任し、1月の始動以来、震災の影響が色濃く残る福島の現状を目の当たりにした。クラブスタッフから当時の話を聞き、この日の試合への思いを高めてきた。「今日(11日)ほど勝ちたいと思った試合は、今までなかった。ひたむきに頑張った選手たちに感謝したい」と、目を赤く腫らしながら語った。

 11年当時は東北1部リーグ所属。震災や原発事故の影響で7選手が退団し、スポンサーは続々撤退した。クラブは解散の危機に直面しながらも地元に勇気と希望を与える存在であり続けた。11、12年と東北リーグを制し13年にはJFL昇格。14年からJ3参入と、成長を続けてきた。

 この日、完封勝利に貢献したGK内藤は在籍9年目の古株。「こういう日に試合ができるのは幸せなこと。今の強い福島を示せたと思う」と胸を張った。震災時、クラブに在籍していた選手は現在4人だけ。それでも、地元の福島に対する思いは皆変わらない。復興にはまだほど遠いが、「サッカーを通じて、福島の人たちを笑顔にしよう」と誓い合うイレブンが、この日、とびきりの笑顔を届けたことは間違いない。

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