J2京都加入の闘莉王、昇格への誓いと“因縁”名古屋への思い語る
J2京都に加入した元日本代表DF田中マルクス闘莉王(35)が26日のリーグ開幕を前に、本紙の独占インタビューに応じた。10年以来のJ1昇格を目指す京都に何を残したいか、京都というクラブの可能性…。そして因縁の名古屋にも言及。様々な思いを背負い、過酷なJ2リーグを戦い抜く覚悟を語った。
――2月1日の練習試合・清水戦から実戦合流。精力的に動いてきた
「まあね。去年やっていなかった分、取り戻さないといけない。久々に自転車に乗るようなもので、多少のズレがある。今年はできるだけ欠席しないよう、出場したい」
――昨年8月末に名古屋に復帰。半年間のブランクは埋めきれなかった?
「それはある。自分が考えるパフォーマンスには遠かった。カバーできている部分はあったけど、自分のプレーに関しては物足りなさはあった。
――03年の水戸以来となるJ2の舞台だが
「あの時とは立場も意味合いも期待も違う。当時のJ2も強烈なチームがいた。川崎や大宮も福岡も甲府もいた。簡単ではなかったけど自分の身を売る、評価を高める良い土台だった。今は置かれている状況が違う。目標も違う。でも水戸時代も常にチームのことを考えてプレーしていたし、そこは今回も変わらない」
――若手を始め、周囲へも積極的に声を掛けている姿が目立つ
「自分のやり方、特徴はそういうところも含めてだと思うけど、チームとして苦しい時こそ力になれるようにしたいと思っているし、若手は必要なんでね。(J1昇格へ)新人の力も必要になる。底上げは大切。その時に少しでも力になってくれるように、準備の仕方、戦術の理解度、体の張り方とかを今のうちから分かって欲しい。ちょっとしたことが勝ち点に繋がってくると感じて欲しい。周囲に話しかけるのは、どこに向けば良いのかを伝えたいから。サッカーは上手くいかないスポーツ。自分たちのサッカーはできない。日によって調子も変わる。でも“頑張り”は変わっちゃいけない。その方向に向けさせたい」
――去年オフ、名古屋のJ2降格とともに契約満了。名古屋戦への思いは
「どこもライバルですよ(笑い)!確かに傷つけられた事実はある。でも、それはパワーになった。一皮むけた。さらにタフになった。決して悪いことじゃない。嫌な気持ちはなく、プラスだと思っていますよ」
――昨年末は引退も考えたというが
「いつ引退してもおかしくないですよ。自分の中でサッカーに対する本能的な気持ちが少しでも緩んだり、消えかかったら辞めようと思っている。でも野口さん(強化部長)と小島さん(強化部スタッフ)が必要としてくれた。本能にガソリンを入れてくれた。お金以前の問題。最後に差し掛かるサッカー人生で何ができるかを考えさせてくれ、京都を昇格させるために来た。京都に何か残したい思いは強い。(03年に在籍した)水戸ではクラブ史上最高順位(7位)。浦和や名古屋でもタイトルを取った。何かを残す責任はある。呼ばれただけの男にはなりたくない。色々と与えてもらった日本に対して、今度は自分がやらなきゃいけない。恩返ししなきゃいけない」
――京都というクラブは
「足りないところは沢山ある。でも一番大切な“本気で勝ちたい!”という気持ちがある。成功をもたらすのは俺ら選手じゃないと思うんですよ。それは上の人(フロント)たちで、その人たちが俺みたいな選手を呼ぶかどうか。物事が起きるのはピッチだけど、周りを支えてくれるスタッフがあってのピッチ。良い選手が揃っていても、サポートが整っていないんじゃ、ピッチで活躍する選手は出てこない。土台がしっかりしていれば選手も良いパフォーマンス出せる。土台が大事。京都は強いチームになるために何をすべきか常に考えている。実行している。そして熱い気持ちが感じられる」
――京都は勝てるクラブになれるか
「J1に行って定着した戦いをキチンとして、そこで安定して満足するのではなく、さらに上へ上へを目指すチームにしたい。今年上げても来年降格したら話にならない。今の鳥栖のように素晴らしい戦いができるチームになれれば良い(鳥栖は03年J2最下位)」。
――今季は大久保嘉人や中村俊輔も新天地を求めた。戦友たちは刺激になるか
「いやぁ、俺は嬉しいよ!たまに連絡はしている。内容?ふざけた話ですよ。長い間、日本代表で一緒にやってきたし、Jリーグで対戦もしている。何年経っても、昨日会ったような感覚になれる。お互いにリスペクトしている。ヨシトもシュンもね、ポテンシャルは誰しもが認めるところで、サッカーに対する思いも誰よりも強い。まだまだ(若手に)追い越されてないぞと思っているでしょ。自分もそれに負けないようにやっているつもり」
――個人的な目標は
「安定した戦いをすること。上手くいかない時もあるけど、波を少なくしたい。平均1失点以下にできれば、安定した戦いができる。あとは…得点を1年以上取っていないので、その感覚も取り戻したいね(笑い)」
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