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W杯出場枠拡大に賛否「レベル保たれるか…」「サッカーは世界的なもの」

[ 2017年1月12日 05:30 ]

FIFAのインファンティノ会長
Photo By AP

 FIFAのジャンニ・インファンティノ会長(46)が10日、スイスのチューリヒで会見。同日の理事会で、26年W杯の出場数を現行の32から48へ拡大を決定したことの正当性を主張した。消極的賛成の欧州を含めて各大陸連盟から支持を得て、理事会では全会一致だったが、欧州の協会やクラブを中心に大会の質が低下することへの懸念や会長の手法に対する批判もある。

 W杯の出場枠を一気に16も増やすという歴史的決定。それに対する批判の声に、インファンティノ会長は真っ向から反論した。「サッカーは欧州と南米のものだけではなく世界的なもの。質は凄く上がっている」と述べ、試合の質が低下するとの見方を否定した。

 FIFA加盟211協会のうち48チームは23%に相当する。これに対し、同会長は「アジア杯は52%、欧州選手権は44%」など、各大陸王者を決める大会での加盟協会に対する本戦出場チームの割合を指摘。W杯の48チームが多すぎる数字ではないと強調した。

 W杯の門戸が広がることで、特に1次リーグの試合の質を懸念する声は根強い。米スポーツ専門局ESPN(電子版)によると、02年日韓大会優勝の元ブラジル代表、カフー氏は「一方的な展開が目立っては、サッカー界の発展にならない」と話し、ロベルト・カルロス氏も「世界最高峰のW杯で、レベルの高いサッカーが保たれるかは疑問だ」と心配した。

 大差の試合だけでなく、逆に優劣がつかない展開も考えられる。1次リーグは3チームが2分け、2チームが1分け1敗などで並ぶ可能性が高まる。日程面に有利と不利が生じ、公平性や魅力が低下しかねない。

 FIFAは一連の汚職事件でブラッター前会長が辞任に追い込まれるなどイメージが失墜。昨年2月に就任したインファンティノ会長は権限集中が批判された理事会の改編や、幹部には3期12年までの多選制限導入など改革を進めた。今回の出場枠拡大も、新会長の下で再出発した組織を世界にアピールしたい、との思惑が透けて見える。

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2017年1月12日のニュース