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“黒田流”で大輪!46歳指揮官が歓喜3度舞い「この先が怖い」

[ 2017年1月10日 05:30 ]

第95回全国高校サッカー選手権決勝   青森山田5―0前橋育英 ( 2017年1月9日    埼スタ )

<全国高校サッカー選手権決勝>イレブンに胴上げされる青森山田・黒田監督
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 黒田監督は万感の表情で試合終了の瞬間を迎えた。晴れ晴れとした表情で喜びをかみしめる。青森県勢として初の快挙を達成したイレブンから3度の胴上げで宙に舞った。ベンチ入りはならなかったが、長男・凱(3年)もサッカー部に在籍した中での頂点。46歳は「悲願の初優勝です。この先10年、何もないんじゃないか。本当に怖い」と照れ笑いを浮かべた。

 目指してきた隙のないサッカーが大舞台で花開いた。「私生活から全てが始まる」。指揮官の指導は細部にわたる。寝癖一つがプレーに影響すると選手に説いた。昨年8月の全国総体準決勝で流通経大柏(千葉)に惜敗した際には「今年は史上最弱ではなく史上最低だ」と選手に言い放った。「みんな自分だけが主張して周りの意見を全く聞かなかった」とMF住永主将は振り返る。ピッチに立つ全員で戦う姿勢を個性の強いチームに注入した。

 青森山田の礎は雪国ならではの逆境だ。校舎のある青森市は12月から3月上旬まで大雪で覆われるが、その環境とあえて向き合った。積雪1メートル以上でも雪かきをせず、その上を走って雪を固める。そこでボールを蹴り紅白戦で敗れたメンバーは再び新雪の上を走る日々。近くの山に往復20〜30キロも走り込むこともあるという。鍛えられた足腰と精神力は雪国にしかない強み。住永は「冬に1年を通して戦える体をつくり上げた。それがなければ、今の自分たちはない」と胸を張った。

 95年に現職となった若き指揮官は当時、名刺を何枚も配り、やっとの思いで練習試合をしてもらったという。苦節22年。7大会前に柴崎(鹿島)を擁してもなし得なかった選手権優勝を果たした。「雪国は勝てないと思った時もあったが、選手が身をもって証明してくれた」。実感のこもった指揮官の言葉に、積み重ねた努力がにじんでいた。

 ◆黒田 剛(くろだ・ごう)1970年(昭45)5月26日生まれ、北海道出身の46歳。登別大谷(現北海道大谷室蘭)から大体大に進み、94年に青森山田のコーチに就任。翌年に監督に昇格した。05年に全国総体で初優勝に導き、07年には日本協会公認S級コーチライセンスを取得。22年間の指導でJリーガー28人を輩出。家族は妻、長男、長女。血液型O。

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