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佐野日大、初4強!医学部志望10番・長崎、劇的ドクターV弾

[ 2017年1月6日 05:30 ]

第95回全国高校サッカー選手権準々決勝   佐野日大(栃木)2―1駒大高(東京A) ( 2017年1月5日    フクアリ )

<佐野日大・駒大高>歓喜のポーズでスタンドに走る長崎
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 準々決勝4試合が行われ、4強が決まった。佐野日大(栃木)は2―1の逆転勝利で駒大高(東京A)を下し、チーム初の準決勝進出を果たした。後半ロスタイムに同校のスーパー進学コースに在籍するFW長崎達也(3年)が劇的な決勝ゴールを挙げる活躍を見せた。青森山田(青森)はJ2千葉内定のMF高橋壱晟(3年)が1得点1アシストと躍動し、正智深谷(埼玉)を3―1で退けた。準決勝は、7日に埼玉スタジアムに会場を移して行われる。

 1―1で迎えた後半ロスタイム。まるで“メス”を入れるかのような鋭いパスワークで相手DFラインを切り裂いた。背番号10をつける長崎がFW大熊とのワンツーから中央突破。ペナルティーエリア右寄りで受けると、思い切り右足を振り、ネットを豪快に揺らした。先制されながら、振り出しに戻し、そして逆転に成功。粘り強い守備を誇る佐野日大が、数少ないチャンスをモノにするスタイルを体現してみせた。駒大高に引導を渡した長崎は1回戦の和歌山北戦に続く2度目の決勝点。「連係で崩して冷静に決められた。最後まで諦めないで時間内に決め切れた」と喜びをかみしめた。

 重圧と隣り合わせの環境が、18歳を強くした。曽祖父から続く医者の家系。スーパー進学コースに在籍する長崎は、「仲間のケガを見てきたから」という理由でスポーツ整形外科医を志している。足利市内にある長崎病院の院長で、消化器外科医でもある父・秀彰さん(52)は「ずっと続く医者の家なので、息子はプレッシャーの中で生きてきた」と振り返る。今大会を最後にスパイクを置く覚悟の長崎は、14日に控える大学入試センター試験のために宿舎に参考書を持ち込んでいる。サッカーでの全国制覇と将来の夢。自らの目標を達成できるように「達也」と名付けられた男が準々決勝で大仕事をしてみせた。

 文武両道を貫くFWの活躍で、初の埼スタ切符をもぎ取った。同校初の全国4強を果たし、狙うは64年大会の宇都宮学園以来、半世紀ぶりとなる栃木県勢の決勝進出だ。長崎は「自分たちの歴史を塗り替えられて良かった」と胸を張る。準決勝は前橋育英との北関東対決。「ここから、さらに相手が強くなる。先のことを考えずに一戦必勝で頑張りたい」。二度と経験できない埼スタのピッチ。もちろん、未来のドクターは負けることなど考えていない。失敗しないので――。

 ◆長崎  達也(な がさき・たつや)1998年(平10)12月23日、福島県生まれ、栃木県足利市育ちの18歳。サッカー経験者の父の影響で幼少期から98年W 杯フランス大会の記念ボールを蹴り、小学校から本格的にサッカーを始める。中学時代は足利ユナイテッドに所属。欧州サッカーを研究して身に付けたドリブルが売り。1メートル64、55キロ。

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