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早すぎるオフ…浦和、悔やまれる指揮官の大一番前の「嘆き節」

[ 2016年12月9日 10:45 ]

<浦和・鹿島>ガックリの浦和イレブン
Photo By スポニチ

 あまりにショックは大きい。11月29日、12月3日のチャンピオンシップで年間勝ち点1位の浦和が鹿島に敗れた。リーグ戦での勝ち点差は「15」。第2戦の後半34分に金崎のPKを沈められ、合計2―2のアウェーゴール差で屈した。実に5勝分に匹敵する差をひっくり返され、ピッチ上に立ち尽くした姿は目を覆いたくなるほどだった。

 ルールはルール。だが、史上最多タイとなる年間勝ち点74を獲得していただけに、選手たちの胸中は複雑だ。12月4日。クラブハウスでの最後のミーティングが終わり、続々と選手が引き揚げる。「クラブW杯決勝でレアルと対戦する」ことが選手たちの合言葉だっただけに、早すぎるオフに戸惑いを隠せない様子だった。「何が足りないかを考えたい」とFW武藤。眠れぬ夜を過ごしたMF阿部やMF高木はクラブハウス内で仮眠を取ってからの帰路となった。

 今回の浦和は「失速」という言葉では説明し切れない2ステージ制の被害者だろう。だが今振り返れば、あの言い訳だけは聞きたくなかった。第1戦前日。11月28日のペトロヴィッチ監督の会見だ。「同じスコアが2試合続くのは5%くらいの確率。我々のアドバンテージは5%」「来年に1シーズン制に戻る。たった2年で変更するのには理由があるはずだが、誰が責任を取った?」などポストシーズンへの批判が止まらなかった。正論だが、大一番に向かうその場の張り詰めた緊張感が解けかけた。日本代表選手がチームを離れ、公式戦から遠ざかって試合勘が鈍るのも分かる。だが、試合前に不平、不満をぶちまけてしまえば、全てが台無しだ。

 チームの先頭に立つ指揮官が、前日に嘆き節を全開させる。それはルールを受け入れて試合に向かう選手たちの士気にも関わると思う。「選手の矢面に立たないといけない」。そうペトロヴィッチ監督は語るが、試合直前の時だけは予防線を張らなくていい。Jリーグ屈指の攻撃スタイルをつくる感情豊かな指揮官が、どれだけリーグ制覇に飢えているかは誰もが知っている。だからこそ、来季はお願いしたい。大一番前に選手を奮い立たせる言葉、その試合後には勝者としての痛快なコメントを。(記者コラム・大和 弘明)

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2016年12月9日のニュース