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興梠悲し先制弾 最後に見せつけられた古巣の勝負強さ

[ 2016年12月4日 05:30 ]

明治安田生命JリーグCS決勝第2戦 ( 2016年12月3日    埼玉 )

<浦和・鹿島>優勝セレモニーを見つめる(左から)遠藤、槙野、西川、興梠ら
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 かつてのチームメートが感情を爆発させる姿をぼうぜんと見つめるしかなかった。興梠は浦和のエースとして持てる力を発揮した。だが、自分が在籍していた時に感じていた、いや、敵となって改めて思い知らされた鹿島の勝負強さに屈した。試合後はぶちまけたい怒り、悔しさをのみ込むように報道陣に無言を貫きスタジアムを後にした。

 優勝へ大きく近づく一撃だった。前半7分、右サイドのクロスに対し、相手DFの後ろにフリーで抜け出して右足でゴール左を射抜いた。勝つしかない鹿島にプレッシャーをかけた。

 燃え尽き症候群から復活した。オーバーエージ枠で出場したリオ五輪から帰国後、無意識のうちに体が動かなくなった。「もうどうにもならなかった」。ミーティングでは、ペトロヴィッチ監督の怒声が飛んだ。「やる気あるのか?」「おまえにムチをいれないといけない」。柔和な指揮官が名指しで激高し、その場は静まり返った。「何かきっかけがないといけなかった」。そこで、スイッチの入った興梠は9月17日のFC東京戦で2カ月ぶりにゴール。エースの復調と同時にチームも上昇気流に乗った。

 13年に鹿島から新たな挑戦を求めて移籍。浦和では毎年のように優勝争いしながらリーグタイトルを手にできなかった。FWとして「責任を感じていた」と今季は自身最多の14得点。CS第1戦でもPKを獲得し、この試合でもゴールを決めてみせた。

 自らを育ててくれた鹿島を下しての優勝。それこそが浦和移籍が正しかったことを証明する手段だったが、まさかの逆転負け。悲願はまたしても来季に持ち越すことになった。

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2016年12月4日のニュース