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“オリジナル10”清水1年で復帰 後半28分金子大まくり決定弾

[ 2016年11月21日 05:30 ]

明治安田生命J2最終節 ( 2016年11月20日    鳴門大塚 )

<徳島・清水>後半28分、勝ち越しゴールを決め、イレブンから祝福される金子(左から2人目)

 約500キロ西まで駆けつけた4000人超のサポーターが涙ぐんだ。1年前とは違う。うれし泣きだ。400日前、クラブ初の降格を味わった“オリジナル10”の清水が22年ぶりの9連勝を飾り1年でJ1復帰。小林伸二監督(56)は大分、山形、徳島に続いて4チーム目を昇格に導いた。指揮官としてはJ初の快挙だ。

 1―1で迎えた後半28分。FW鄭大世(チョンテセ)(32)が上げた右クロスに、FM大前元紀(26)に代わって投入されたMF金子翔太(21)が左足ワンタッチでゴール右隅に突き刺した。「シーズンを通して元紀君と交代することが多く、今日はやってやろうと思っていた」。ゴール後は真っ先に大成の元に駆け寄り、歓喜のイレブンにもみくちゃにされた。

 苦難の連続だった。「リスタート」を掲げて臨んだ開幕戦はスコアレスドロー。シーズン序盤は両サイドが下がり5枚で守備的布陣を敷くチームに苦戦した。一時4位に上がりながら、5月は1勝1分け3敗で10位にまで低迷。選手は青空ミーティングを行い、当初はPOを目指してモチベーションを維持した。

 指揮官は就任当初を振り返り、選手それぞれには“うまさ”があるが「どうやって攻めてどうやって守るか、形になっていなかった」と指摘。その中で、前からの守備、攻守の切り替え、立ち位置と3人目の動きに重きを置き、チーム状態を上向かせた。

 組織力は大きく成長した。負傷者続出で先発メンバーは何度も入れ替わったが、DF角田誠(33)は「他より紅白戦のサブの方が強い」と断言。6~9月に負傷離脱した主将の大前も「いつ誰が出ても活躍できた。チーム力で勝てた」と振り返る。その言葉は天皇杯4回戦で先発全員を入れ替えながら、G大阪を延長戦まで苦しめた結果に表れている。

 J2を経て選手は一層粘り強くなった。「若い選手は良い経験。今日の思いを忘れずJ1で戦えるように準備したい」と小林監督。イレブンと指揮官が目指す場所は、まだ先にある。

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