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ハリル監督 解任危機渦巻く中…逃げ切り失敗もドローでドヤ顔

[ 2016年10月12日 05:30 ]

W杯アジア最終予選 ( 2016年10月11日    オーストラリア・メルボルン )

上機嫌で会見場を後にするハリルホジッチ監督
Photo By スポニチ

 会見場に用意されていた水をグビッと、うまそうに飲み干した。敵地でオーストラリアにドローはギリギリの及第点。ハリルホジッチ監督の解任はひとまず先送りとなった。「この試合に関して後悔はしていない。戦術の準備もしっかりしていた。フィジカルも管理していた」。指揮官の憎らしいほどのドヤ顔が戻って来た。

 序盤はプラン通りだった。「相手はFK、CKでしか点が取れない。わざとポゼッションさせた」。パス交換のほころびを狙った先制点は前半5分。原口がボールを奪い長谷部―本田、再び原口と渡った。自ら「サプライズ」と呼ぶ本田の1トップも的中。相手にボールを持たせることでロングボールを生かした空中戦も封じた。

 後半は一転、流れが変わった。同7分、PKで同点弾を許す。同35分には小林が太腿をつった。選手交代で後手が目立ち、追加点も奪えない。「斎藤、浅野は経験が浅く不安だった。フレッシュな選手を投入すべきだったかもしれない」。だが最後は選手の粘りに救われたにもかかわらず「勝ち点1を得たというより、勝ち点2を失った感じ」「本田のパフォーマンスがもっと良ければ、勝てていたと思います」とも口にした。

 負ければ解任の可能性もあった大一番。試合前には選手の意見に耳を傾けた。「FKの壁やラインの位置について監督と意見をぶつけあった」と槙野。昨年6月のW杯2次予選シンガポール戦(0―0)後には、帰りのバスでムードを変えようと明るく振る舞った選手に指揮官の怒号が飛んだ。「引き分けで笑っているとは何だっ」。当たり散らす姿に信頼を失い、選手との間に溝ができ始めていたが、指揮官にも変化が見られた。

 もちろん、手放しでは喜べない。10月の2戦は1勝1分けで勝ち点4を積み重ねた。だが守備から速攻を狙う戦術は格上を相手にした時の常とう手段。内容に一抹の寂しさは拭えない。次はホームでサウジアラビア戦。過去、日本がW杯最終予選で2敗してW杯に出場した実績はない。日本協会の西野技術委員長は「続投?もちろん」と明言したが、負ければ解任の状況に依然として変わりはない。はるかロシアへ、ギリギリの戦いは続く。

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