×

ハリル監督 欧州組と心中…試合に出ていなくても“名前”優先?

[ 2016年9月30日 05:30 ]

資料を見せながら説明するハリルホジッチ監督

W杯アジア最終予選代表26人発表

 日本サッカー協会は29日、10月のW杯アジア最終予選イラク戦(6日、埼玉)、オーストラリア戦(11日、メルボルン)に向けた日本代表26選手を発表した。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は軒並み所属先での出場機会が激減している欧州組から大量15人を招集するなど、進退が懸かる大一番で欧州組への偏重ぶりが顕著となった。唯一の新戦力にはMF永木亮太(28=鹿島)、またGK川島永嗣(33=メス)を精神的支柱として招集した。

 バリバリの国内組より試合に出ていない海外組と「心中」する覚悟を固めた。代表26人を発表するハリルホジッチ監督の表情には苦悩が浮かぶ。欧州組15人中12選手は所属先で先発から外れているからだ。「このままずっと先発が獲れないのであれば、もっと大きな問題となる」と危機感を語る。それでも、「普通の基準で言えば呼べない。ただ本田、香川、長谷部よりいい選手がいますか?彼らを外したら誰を呼びますか?彼らにさよならしたらチームのメンタルが壊れる。信頼しているというメッセージ。グラウンドでの返答を待っている」と説明した。

 消去法的な選考と言わざるを得ないが、本田、香川、清武ら主力勢とは毎週連絡を取り合う。指揮官は「香川の競争相手を想像してください」と言った。香川ならドイツ代表ゲッツェ、清武なら元フランス代表ナスリら世界的選手が定位置争いのライバル。J1公式戦よりも厳しい環境と言わんばかりに「(日本と)海外との差は歴然」と断言した。また国内組で出場した15年東アジア杯は「私のベストチームよりも総走行距離が10キロ少ない」と分析し、欧州組への偏重理由を語った。

 欧州組が多い分、試合へのマネジメントも変更する。屈辱の敗北を喫した初戦のUAE戦では試合2日前、45分間のミーティングで攻守9つのテーマを詰め込んだ。だが、時差ぼけに耐えきれず眠りだす選手がいたという。今回はイラク、オーストラリアの映像は事前に渡しチェックするよう指示する。長時間ミーティングは避ける意向だ。

 相手は昨年アジア杯4強のイラク、優勝のオーストラリアという難敵だが、内容次第では進退問題に発展するのは避けられない。この日の熱弁は過去最長の95分。「コーチ、関係者は話さない。全て私の責任でやる。全て話します」。周囲にかん口令を敷く情報統制ぶりで緊張感を漂わせた。進退に関わる質問には「笑えない質問」と表情を硬くし「皆さんが他の監督を連れてきたいなら別だが、まだやるべきことはある」と語った老将。自身の命運は出場機会の激減に苦しむ欧州組に託す。

続きを表示

2016年9月30日のニュース