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【独占インタビュー】日本に牙をむく豪州の“鳥人”カーヒル

[ 2016年9月29日 11:20 ]

W杯ロシア大会アジア最終予選で日本に立ちはだかる豪州の“鳥人”カーヒル(左)

 10月11日の18年W杯ロシア大会アジア最終予選で日本と対戦するオーストラリア代表のFWティム・カーヒル(36=メルボルンC)が、本紙の独占インタビューに応じた。対日本戦で8試合5得点を誇る“天敵”は、日本に敬意を示しながらも現アジア王者としての自信をうかがわせた。日本協会は29日、10月6日のイラク戦(埼スタ)を含む10月の同アジア最終予選2試合に臨むメンバーを発表する。(構成・垣内 一之)

 敬意を表しつつも、その言葉には自信がみなぎっていた。カーヒルは最終予選で黒星発進となった日本に関し「UAE戦はアンラッキーだった。試合もよく見ると黒星に値しなかった」と分析。それでも、オーストラリアは自国開催の15年アジア杯を制し、現アジア王者として君臨しているとあって「我々が15年にアジアの頂点に立つまで、日本はアジア最強だった」と余裕をのぞかせた。

 オーストラリアは日本にとって大きな壁として常に立ちはだかってきた。逆転負けを喫した06年W杯ドイツ大会1次リーグ初戦をはじめ、W杯アジア予選でも4分け2敗と未勝利。その中で際立った活躍を見せてきたのが、06年W杯の2得点を含む日本戦8戦5ゴールを誇る“天敵”カーヒルだ。ただ、カーヒル自身はその強さの秘密について「私は毎試合、その試合が自分の最後の試合という気持ちで臨んでいるからだ」と日本に特別な意識がないことを強調。「だから、私にとって今度の日本戦が他の試合と違った意味を持つことはない」と言い切った。

 ただ、最終予選で2連勝を飾ったオーストラリアに対し、1勝1敗とこれ以上負けられない日本は本田、香川、岡崎ら主力の大半が所属クラブで出場機会を失っているなど、危機的状況。カーヒルは「岡崎、香川、本田が我々との試合でも主役になると思う」とした上で「そういう状況なら、日本はインテンシティー(強度)の高い試合を続けるのは難しいだろうね」と不敵に笑った。

 カーヒルは約2カ月ぶりの公式戦出場となった9月7日のUAE戦で決勝弾。10月の2試合へ向け状態はさらに上がっているという。「私は現実主義者。この年で何ができ、何ができないかよく分かっている」。ハリルホジッチ監督の進退問題もくすぶる日本にとって、36歳を迎えたとはいえ、今回もカーヒルは厄介な相手となりそうだ。

 <対日本最多得点はネイマール> 日本が国際Aマッチで最も得点を決められている(得点者判明の試合)のがブラジル代表FWネイマール。12~14年の3試合で2、1、4の3試合連続で計7得点を許した。次いで70~80年代に活躍した韓国代表FW車範根(チャ・ボムクン)が6得点。カーヒルは2人に次いで3番目の5得点だ。4得点は得点者が不明な時代を含め多数おり、90年以降ではダエイ(イラン)がいる。

 ◆ティム・カーヒル 1979年12月16日生まれ、オーストラリア・シドニー出身の36歳。父はアイルランド系のイングランド人で母はサモア人。97年にイングランドへ渡り、04年からプレミアの強豪エバートンで活躍。その後は米MLS、中国1部でプレーし、今年は杭州緑城を経て8月からメルボルンCに加入。オーストラリア代表では92試合48得点。1メートル80、77キロ。右利き。

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