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ゲームメーカーの重要性 29日の日本代表発表に注目したい

[ 2016年9月28日 09:00 ]

25日のG大阪―FC東京戦を視察に訪れたハリルホジッチ監督

 【大西純一の真相・深層】W杯アジア最終予選第3戦のイラク戦(10月6日、埼スタ)と第4戦オーストラリア戦(11日、メルボルン)の日本代表が9月29日に発表される。このメンバーでハリルホジッチ監督の考え方が明確になると思う。

 9月1日の第1戦でUAEに1―2で敗戦、同6日の第2戦でタイに2―0で勝ったが、すっきりしない内容だった。原因は「ゲームメーカー」がいないことだろう。ハリルホジッチ監督が目指す縦への早い攻めはだいぶできている。

 だが、まだ完成の域には達していない。時間がかかるし、サッカーは相手もいるだけに、ゲームプラン通りに進まないこともある。試合が始まればハーフタイム以外に“作戦タイム”はない。そこで重要になるのが、試合の流れをつくれる選手の存在だ。

 日本代表にはかつてラモス瑠偉、名波浩、小野伸二らがいた。ザッケローニ監督時代には遠藤保仁がいた。試合の流れが悪くなると、彼らが試合の流れを修正し、チームを勝利に導いた。

 「そういう選手がいれば」と、思うのはわたしだけではない。今なら中村憲剛だろう。今季絶好調、ハリルホジッチ監督も9月にバックアップメンバーとして名前を挙げたぐらいだ。

 中村は「誰かの影響と言うより、川崎Fでボランチになって、責任を負うことで、自分で覚えていった。チーム全体を見るようになって、いろいろ経験して、チームが勝つためにどうするかを経験し、どんどんそぎ落としてきた」という。25歳の時に、関塚監督がボランチにコンバートしたことがきっかけ。「トップ下からひとつ下がって、前の選手の気持ちも、後ろの選手の気持ちもわかった」入団直後にがむしゃらに前線で走った経験が、ボランチになって生きた。中村の経験がゲームメーカーのいしずえとなったわけだ。

 さて、イラク戦とオーストラリア戦。ハリルホジッチ監督があくまでも今のサッカーをじっくりと熟成させていくなら、9月と同じメンバーでいいだろう。だが、時間がない中でイラクとオーストラリアに何としても勝とうと思うなら、ここは「ゲームメーカー」の中村が必要だろう。どう判断するか、注目したい。(専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

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2016年9月28日のニュース