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0―2から2発ドロー!中島 決勝T望みつなぐ芸術ミドル同点弾

[ 2016年8月9日 05:30 ]

コロンビア戦の後半、2点目のゴールを決める中島(左)

 サッカー男子のリオデジャネイロ五輪代表は7日、1次リーグ第2戦でコロンビアと2―2で引き分けた。負ければ敗退が決まる一戦でDF藤春広輝(27=G大阪)が痛恨のオウンゴールを記録するなど2点を先行されたが、1―2の後半29分にMF中島翔哉(21=FC東京)が約25メートルのミドルシュートを決めて引き分けに持ち込み、決勝トーナメント進出に望みをつないだ。最終戦は10日(日本時間11日午前7時)に行われ、スウェーデンと対戦する。

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 “小さな巨人”が値千金弾を決めた。1点を追う後半29分、ゴール前約25メートルでボールを受けた中島はフェイントで相手を翻弄(ほんろう)。そして次の瞬間「GKを見て(前に出ているのが)分かりました」と狙い澄ましたように右足を振ると、シュートはループ気味に相手GKが懸命に伸ばした手の上を越え、クロスバーを叩いてゴールラインを割った。「試合前からシュートは意識していた」。背番号10は、2大会連続の決勝トーナメント進出に希望をつなぐミドル弾を振り返った。

 小さい頃は飼い犬相手にドリブル練習し、夜は犬と布団に入りボールを抱いて寝ていた根っからのサッカー小僧。身長1メートル64は、五輪が原則U―23世代で出場する現行制度となってから日本人としては最小兵だ。中学の頃から背が伸び悩み、心配した母・こずえさん(46)は成長を促進するホルモン注射を打とうとしたこともあったという。だが中島自身は「小さくても勝てる方法はある」と捉え、練習の虫となった。限られた時間しかピッチを使用できなかった東京Vユース時代には、頼んで他の年代に交じって練習することも少なくなかったという。

 中でも磨きをかけたのがシュート。「決定力がないといって左45度からのシュートは毎日やってたね」。そう振り返るのは東京Vユース時代の監督で、現J3町田のアカデミーダイレクターとU―16女子日本代表監督を務める楠瀬直木氏(52)だ。小柄ながら体がぶれずに強いシュートを打つため、体幹トレーニングに励んだ。楠瀬氏が「本当マニアックだった」と明かしたようにシュート時に上げる左腕の肩甲骨の可動域など細部までこだわりながら特訓。五輪初得点は積み重ねてきた練習の成果だった。

 初戦に続き、スタンドにはこずえさんの姿。母子家庭で育った中島は、日夜働いて自身を支えてくれた母へ「メダル獲って、家にメダル持って帰ってあげたい」と今大会での恩返しを強く誓う。勝利には結びつかなかったが、次こそは歓喜にあふれたゴールを決める。

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