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久保 五輪出られない…所属クラブ派遣拒否 代役は武蔵有力

[ 2016年7月28日 05:30 ]

リオ五輪日本代表に選出されていたFW久保裕也

 サッカーのリオデジャネイロ五輪代表に選出されているFW久保裕也(22)の五輪参加が困難な状況となった。所属するヤングボーイズ(スイス)が27日、故障者が出たチーム事情から久保のリオ五輪派遣を拒否する声明文を発表。日本サッカー協会との交渉は続いているが、不参加となれば48年ぶりのメダル獲得を目指す手倉森ジャパンにとって大打撃となる。

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 手倉森ジャパンがメダル獲得へ、大きな逆風にさらされた。ヤングボーイズのビッケル・スポーツディレクターはクラブ公式サイトで「日本の五輪出場に多大な貢献をした久保には大変申し訳なく思う。だが、クラブの利益を守るため決断しなければならなかった」と久保の五輪派遣拒否を発表。前日(26日)に敵地ウクライナで行われたシャフタル・ドネツクとの欧州CL予選3回戦第1戦後、27日にブラジルへ出発する予定だった久保は、チームとともに拠点があるスイスに戻った。

 突然の派遣拒否はチームメートの負傷が原因だ。シャフタル戦でFWゲルントが先発も、左膝を痛めて後半3分に久保と交代。0―2で敗れた上に長期離脱が決まった。8月3日にホームで第2戦を控える中、昨季12得点した主力を欠き、久保が必要な戦力となった。

 今回の五輪で各国協会はクラブに招集を強制できない。日本協会はJクラブに関してはオーバーエージ枠を含めて最大3人まで招集が可能な取り決めがあるが、海外クラブに関しては拘束力がなく、発表について「現時点でこちらからコメントできることは何もない」とした。久保は当初、21日に五輪代表に合流してアラカジュ合宿に参加する予定だったが、クラブ側が26日のシャフタル戦までの帯同を要望。受け入れざるを得なかった。さらにクラブに負傷者や出場停止選手が出た場合は、久保の派遣見直しを検討する条件も出されていたという。日本協会はヤングボーイズと交渉を継続しているが、情勢は厳しい。正式に久保不参加が決まれば、代役はバックアップメンバーのFW鈴木武蔵(新潟、写真)の選出が有力となりそうだ。

 久保は1月のリオ五輪アジア最終予選で唯一、全6試合に出場して3得点。五輪出場獲得に大きく貢献した。今月23日のザンクトガレンとのスイスリーグ開幕戦でも1得点。右膝の負傷も癒え、調子を上げていた。今回の事態を受け「切り替えるしかない。メンタルを強く持って(30日のスイスリーグ・ルガノ戦で)絶対に結果を残す」と話すなど派遣拒否を覚悟して気丈に振る舞った。

 48年ぶりのメダル獲得を目指す手倉森ジャパンにとっても主軸の存在は不可欠。リオ五輪開幕前から暗雲が立ち込めてきた。

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