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“熊本お帰り”地震後初85日ぶり本拠うまスタ開催に沸く!

[ 2016年7月4日 05:30 ]

<熊本・C大阪>地震後初となる熊本での開催に多くのサポーターが駆け付けた

明治安田生命J2第21節 熊本1―5C大阪

(7月3日 うまスタ)
 熊本にJリーグが、火の国イレブンが帰ってきた。J2熊本は、熊本地震後初めて熊本市の本拠地「うまかな・よかなスタジアム」でC大阪とのホームゲームに臨んだ。前半8分にDF薗田淳(27)がプロ10年目でリーグ戦初ゴールを決めて先制。しかし、同25分にペナルティーエリア内で相手を倒して退場処分となり、その後は数的不利で失点を重ねて1―5で大敗。それでも、地元開催を待ちわびた観客からの温かい拍手に「うまスタ」は包まれた。
【試合結果 J2順位表 得点ランキング】

 85日ぶりの「うまスタ」に声援が響いた。3万2000人収容の本拠地は安全確認が終了したメインスタンドだけを開放。9800席が使用可能となる中、ほぼ満員の9322人の観客が詰めかけた。しかし、4月9日の山口戦以来の地元開催は今季最多の5失点。後半途中出場した元日本代表FWの巻は下を向くイレブンに声を掛けて鼓舞した。

 「これを一つの糧にして、次に向かわないと。コンディションは(連戦で)きついけど、試合をできない時期もあったし、半分だけどスタジアムを使わせてもらえて、サッカーやらせてもらっている。感謝しかない」

 先制点は熊本だった。前半8分、FW清武のクロスをファーサイドでDF園田が折り返し、ゴール前でDF薗田が頭で押し込んだ。プロ10年目でリーグ戦初ゴール。ベンチで仲間と抱き合って喜んだ。しかし、1―1の同25分にペナルティーエリア内で相手を倒して一発退場。PKを決められ、逆転を許した。薗田は「退場してしまったので手放しでは喜べない。チームのみんなに迷惑を掛けた気持ちの方が強い」と肩を落とした。

 キックオフの約1時間前。午後4時51分ごろ、熊本県で震度3の地震があり、うまスタも少し揺れた。余震が続き、熊本県内では現在も6000人以上が避難生活を送る。そんな中での本拠地復帰戦。避難所などを訪問する巻にとっても待ちに待った一戦だった。自身が立ち上げた熊本復興支援の「YOUR ACTION KUMAMOTO」には新しい依頼が届いている。この日から海外クラブに所属する選手から提供してもらったスパイクなどで新たにオークションを開始。「熊本でサッカーができるタイミングだったので、ここがベストかな」。復興の先頭に立ち、熊本を全国に発信する覚悟だ。

 6試合ぶりの黒星を喫し、次戦は中2日で6日のアウェー山形戦に挑む。「1万人近くの人が自分の背中にいてくれて感慨深かった。これだけのサポーターと雰囲気だったので、11人でやりたかったのが正直なところ。勝負したかった」と巻は大敗となった再出発に悔しさをにじませながらも、「またホームに戻ってくるわけで、それは大きなこと。帰れる場所があるというのは本当にありがたい」。ただいま、熊本。次こそは勝利でうまスタを沸かせる。

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