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熊本、お待たせ!74日ぶり勝利 地震後初の九州開催で5発

[ 2016年6月9日 05:30 ]

<熊本・金沢>サポーターの前で「カモンロッソ」を踊る熊本イレブン

明治安田生命J2第17節 熊本5―2金沢

(6月8日 ベアスタ)
 熊本に74日ぶりの勝利を届けた。J2熊本は8日、代替地の佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで金沢と対戦。開始23秒、FW平繁龍一(27)が右足で先制点を奪うと、同9分にはFW清武功暉(25)がゴール左から直接FKを沈めた。31分、36分、44分と次々と追加点を挙げ、5―2の大勝。勝ち点3を手にし、19位から17位に浮上した。

 待ちわびた勝利の儀式だ。イレブンの歓喜のダンスに赤いタオルが宙を舞う。3月26日のアウェー長崎戦以来、74日ぶりの白星に選手、サポーターが一体となった。

 開始23秒弾が派手なゴールラッシュの号砲だ。相手のクリアボールをMF嶋田がペナルティーエリア内左のゴールラインを割りそうなところからクロス。FW平繁がGKのニアサイドを抜いて先制点を奪った。8分後。今度はFW清武がゴール前左からの直接FKを右足で突き刺した。「ニアサイドに速いボールを蹴ろうと思っていた。GKとうまく駆け引きできた」とニヤリ。同36分の左CKではニアサイドのMF金泰延に合わせる正確なキックでアシストすると、44分もカウンターの起点になった。1得点1アシストを含む3得点に絡み「サポーターが喜んでくれて良かった。僕は足がつっていたので(最後のダンスは)つらかった」。苦笑いしたが、その疲労感こそ走り抜いた証だった。

 九州で勝つ――。チームの目標は明確だった。熊本地震以降、初となる九州開催。試合前日の宿舎では食事後に選手だけのミーティングを開いた。10分に満たない時間だったが、「全て話して吹っ切れた」と岡本主将は言う。チームワーストの6連敗に自信をなくし、プレーに迷いが生じていたが、「チャレンジしないで負けるのは最悪。入りから迷わずにいこう」と確認し合い、それが開始直後からのゴール量産につながった。

 前節6月4日のアウェー岡山戦では再開後初ゴールが決まり、「半歩くらい前進した」と巻は言った。そして、きょう初勝利を収め、また一歩前進した。元日本代表のベテランは「一個一個を大切に順位を上げるチャレンジをしたい」ときっぱり。復興のシンボルとして、もう歩みは止めない。(後藤 実穂)

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2016年6月9日のニュース