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なでしこ佐々木前監督 11年W杯決勝をほうふつ「高倉監督の勝ち運感じた」

[ 2016年6月4日 11:20 ]

なでしこジャパン前監督の佐々木則夫氏

米国遠征・国際親善試合 日本3―3米国

(6月3日 米コロラド州コマースシティー)
 なでしこを最もよく知る男が高倉ジャパンを読み解く。なでしこジャパンの監督を08年から今年3月まで務め、今回から新たにスポニチ本紙評論家に就任した佐々木則夫氏(58)が、「新生なでしこ」の初陣を分析した。

 米国は最高の状態ではなかったが、3点取って引き分けたことは大きな自信、今後の指標になる。私も初戦は東アジア選手権で、アジアNo・1の北朝鮮と対戦し、3―2で勝てたことがその後のパワーになった。

 攻撃では特に展開、仕掛けの部分で新たなものが見られた。これまでの4―4―2から4―2―3―1に変え、岩渕をトップ、千葉をトップ下、左に大儀見、右に中島を配置したところに高倉カラーが出ていた。大儀見はドイツでも左サイドの経験がある。3得点は全て阪口が起点となって細かいパスワークで崩した。個の質や精度の高い連係を積み重ねる日本の特長がよく出ていた。

 前でボールを奪う戦い方や、攻守の切り替えの早さ、細かいパスをつないで、相手を動かすための距離感などは意識されていた。一方で、まだチームが立ち上がったばかりで、GKの経験不足もあり3失点を喫した。日本の課題はサイドから崩されるところだが、この試合は米国のクロスの精度が低くて助けられた。

 選手個々では初招集の千葉は周りを見ていたし、意外性のあるプレーや守備もよかった。GK山下は身体能力が高く、3点目の失点はチャレンジしてのミス。飛び出したらパンチングする、大きな声を出す必要性を学んだと思う。大儀見もゲームキャプテンで意識が高まり、不用意なイエロー2枚で退場になったが、もっと主審の特徴をつかみ、親善試合が10人対11人にならないようにしてほしい。米国は点を取ると足が止まる癖があり、追いついたが、11年W杯決勝を思い出させる終盤で、高倉監督の勝ち運を感じた。(前なでしこジャパン監督)

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2016年6月4日のニュース