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敬真 初代表で冷静技ありループ!リオへ生き残り猛アピール

[ 2016年5月12日 05:30 ]

<U23日本・ガーナ>五輪本大会へ生き残る!!前半、ループシュートを決める富樫

国際親善試合 U―23日本3―0ガーナ

(5月11日 ベアスタ)
 リオデジャネイロ五輪に出場するU―23日本代表は11日、ガーナA代表との強化試合(ベアスタ)に臨み、3―0で快勝した。熊本地震の被災地復興支援チャリティーマッチを兼ねた一戦。2―0の前半30分には初出場初先発となったFW富樫敬真(けいまん、22=横浜)が、巧みなループシュートで初得点を挙げた。これまで世代別の代表経験のなかったFWが、本大会メンバー18人に滑り込むため、初の国際舞台で猛アピールした。代表常連のMF矢島慎也(22=岡山)も2得点を挙げ勝利に貢献した。

 初先発でも頭の中は冷静だった。2―0の前半30分。富樫は敵陣深くで浅野から横パスを受ける。相手GK、2人のDFが一気に間合いを詰めてきた。「思ったよりトラップが大きくなったけど、珍しく冷静になれた。イメージ通りだった」。飛び出してきたGKの位置を見極め、右足で柔らかいループシュート。美しい初得点が、本大会のメンバー入りへ名乗りを上げる号砲となった。

 過去に世代別の代表に選ばれたことは一度もなく、日の丸を背負うのはこの一戦が初めて。ちょうど1年前の今ごろは、関東学院大の一員として関東大学2部リーグを戦っていた。「(今の自分を)あのときは想像することはできなかった」。昨年8月、たまたま人数合わせで参加した横浜の練習で裏に抜ける動き、体の強さがモンバエルツ監督の目に留まる強運ぶり。シンデレラストーリーの始まりだった。

 圧巻の決定力だ。これで今季先発した公式戦は5戦4発。米国人の母と日本人の父を持つ。母は元ホッケー選手で、いとこにはかつてMLSロサンゼルスに所属した選手もいる。脈々と受け継がれるアスリートの血。3月12日、初先発した新潟戦では、それまで途中出場の経験しかなく試合前のアップで動き過ぎ、前半で足をつってしまった。そんな初々しさも今は昔話だ。
 
 海外組の久保、南野らが不在の中、確かなインパクトを残した。それでも「後半は質が落ちてしまった。ビギナーズラックで終わらせないようにしたい」。今季は横浜でもフル出場が一度もなく課題ははっきりした。名の敬真は「ケイマン」と読む。両親が新婚旅行でケイマン諸島を訪れたのが由来だ。その両親を今度はリオへ。手倉森ジャパンのFW争いを混沌(こんとん)とさせる「新星」が誕生した。

 ◆富樫 敬真(とがし・けいまん)1993年(平5)8月10日、米国ニューヨーク生まれ、横浜育ちの22歳。横浜ジュニアユース出身もユースに昇格できず。日大高から関東学院大の人間環境学部に進学。昨年8月、横浜の特別指定選手になると同9月、初出場したFC東京戦では後半43分に決勝弾を決めて鮮烈なデビュー。今季J1で7戦2得点、ナビスコ杯で1戦1得点。家族は両親と妹。1メートル78、73キロ。

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