×

ミラン指揮官交代の背景…サポ92%反対も、時代遅れの会長また強権発動

[ 2016年4月19日 11:50 ]

初陣を白星で飾ったACミランのブロッキ新監督(AP)

 日本代表FW本田圭佑(29)が所属するACミランが、またもや監督交代に踏み切った。12日に成績不振によりシニシャ・ミハイロビッチ監督(47)を解任し、クラブOBでユース年代の監督を務めていたクリスチャン・ブロッキ新監督(40)の就任を発表。新体制初戦となった17日のサンプドリア戦は1―0で勝利したが、本田は先発落ちして出番がなかった。14年1月に本田が加入してから、わずか2年余りで4回目となった指揮官交代の背景を追った。

【セリエA順位表】

 監督交代という“ショック療法”は、低迷する名門にリーグ6戦ぶりの勝利をもたらした。ブロッキ監督は「物凄く良い感触を得た。チームにはポゼッションを大事にするよう説いた。わずか数日間でこういうものを見せるのは決して簡単ではない」と56%のボール保持率に手応えを強調。サンプドリアとの前回対戦時(昨年11月28日)の49%、前節9日ユベントス戦の45%などと比べると改善が数字に表れた。

 会見でアピールしたのはベルルスコーニ名誉会長が望むものだからだ。ガゼッタ・デロ・スポルト紙によると、ベルルスコーニ氏は守備的なミハイロビッチ前監督の戦い方に不満を抱き、解任を決断。後任候補についてガリアーニ副会長が元イタリア代表監督のリッピ氏、80~90年代にミランなどで黄金期を築いた名将サッキ氏がサッスオーロのディフランチェスコ監督を推薦したが、“鶴の一声”でトップチーム指揮経験ゼロでもポゼッションを重視するユース監督を選択したという。

 一方でサポーターとメディアは監督交代に批判的だ。ガゼッタ・デロ・スポルト紙の調査ではファン92%がミハイロビッチ解任に反対。コリエレ・デロ・スポルト紙は「ミハイロビッチはベルルスコーニとガリアーニのミスの犠牲者。2人は排除されるべき」と指摘した。86年からクラブの最高権力者に君臨するベルルスコーニ名誉会長はガリアーニ副会長との二人三脚で90年代に黄金期を築いたが、今や低迷の“元凶”と見られている。

 最近は財政悪化によるスター放出や補強失敗など失策続きで、たび重なる監督交代劇は最たるもの。14年1月のアッレグリ監督解任からシードルフ、インザーギ、ミハイロビッチと4人をクビにして現場を混乱させただけでなく、複数年契約で保証した残り年俸をシードルフら元監督3人に支払う必要があり、15年度で8900万ユーロ(約109億円)とされる大赤字の一端にもなっている。

 中国資本によるクラブ買収話も浮上。ベルルスコーニ名誉会長は交渉を拒否しているとされるが、インドネシア資本となった宿敵インテル・ミラノのように、古いタイプのトップは“退場”する運命なのかもしれない。

続きを表示

この記事のフォト

2016年4月19日のニュース