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五輪消滅…なでしこ再建へ“レジェンド”澤さんに協力要請

[ 2016年3月8日 05:30 ]

<日本・ベトナム>試合後、厳しい表情を見せる宮間(左)らなでしこイレブン

リオ五輪アジア最終予選 日本6―1ベトナム

(3月7日 金鳥スタ)
 「澤穂希」が再建の切り札となる。中国が韓国を破ったため、なでしこジャパンはベトナム戦の試合前に2位以内に入る可能性が消え、4大会連続の五輪出場を逃した。6―1で今予選初勝利を挙げた試合後、日本協会の次期会長に内定している田嶋幸三副会長(58)は昨季限りで現役引退した澤穂希さん(37)に協力を要請する考えを示した。

 リオ五輪への道が絶たれた。直前に行われた韓国―中国戦で中国が勝ち、可能性が消滅した上で挑んだベトナム戦には6―1で勝利した。だが、4大会連続となる五輪出場を逃した事実は重い。前回のロンドン五輪で銀メダルを獲得したなでしこジャパンが、誰も予想しなかった予選敗退を喫した。試合後の取材エリアで対応した日本サッカー協会の田嶋副会長は、一人の名前を挙げて思いを語った。

 「澤さんは女子サッカーの中で大きな存在。具体的に申し上げられる段階ではないですけど、どんな立場であっても、女子サッカーに関わってもらいたい」

 昨季限りで引退したレジェンドを、副会長は立て直しのキーマンとして指名した。前日の6日夜、NHKの番組に澤さんが出演し「また“強いなでしこ”に戻れるよう、普及の部分、強化の部分で何か携われることがあればやっていきたい」と発言。代表に関わることへの前向きな姿勢もあり、副会長は協力を要請していくことを示唆した。

 今後はスピーディーに改革が断行されていく。07年12月から指揮を執ってきた佐々木監督は、今予選限りで退任する。大仁会長は試合後、「新しい体制でスタートしていく。東京五輪がありますから、なるべく早くスタートさせたい」と口にした。佐々木監督の後任は、U―20女子日本代表の高倉麻子監督が最有力候補。野田朱美女子委員長の退任も濃厚となった。

 今予選で精神面のもろさや勝負弱さを露呈したなでしこジャパンに、澤さんが帰ってくる意味は大きい。また、澤さんにとって高倉氏は「お姉さん」と今でも慕う存在だけに、意思の疎通も図りやすいはずだ。19年W杯フランス大会、そして20年東京五輪へ。道のりは険しくても、強いなでしこを取り戻す戦いが新たに始まる。

 ≪ノルウェー、ドイツ以来の屈辱≫前回の12年ロンドン五輪銀メダルのなでしこジャパンが予選敗退。五輪で銅メダル以上を獲得したチームが、次回の五輪に出場できないのは00年シドニー五輪で優勝したノルウェー、08年北京五輪銅メダルのドイツ以来3度目となった。

 ≪W杯3位以上では史上初≫なでしこジャパンは昨年W杯カナダ大会で準優勝。五輪前年のW杯(旧世界選手権)で3位以上のチームが出場権を逃すのは史上初となった。

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