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東福岡 5発で3度目V!“最弱”から奮起し史上6度目夏冬2冠

[ 2016年1月12日 05:30 ]

<国学院久我山・東福岡>後半2分、味方の選手が壁となり相手の壁役の選手の視界を遮るトリッキーなFKを決める東福岡・中村(手前)

 5発圧勝だ!第94回全国高校サッカー選手権決勝が行われ、東福岡が国学院久我山(東京A)を5―0で粉砕。17大会ぶり3度目の優勝を飾るとともに夏の高校総体と合わせて史上6度目の夏冬2冠を達成した。MF中村健人主将(3年)が後半2分のFKでトリックプレーを決めるなど、鮮やかなゴールラッシュ。02年に就任した森重潤也監督(50)は高校選手権で初の栄冠を手にした。

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 金メダルを胸に下げ、ロイヤルボックスの前に選手全員が並んだ。優勝旗を持った中村主将の掛け声で一斉に両手を上げる。「史上最弱」と言われ続けたチームが、ついに全国4144校の頂点に立った。

 「めっちゃうれしいです。自分たちは入ったときから“史上最弱”と言われたことで、過信することなくここまで来た。謙虚な姿勢を持ち続けたことが一番の要因だと思います」

 1―0の後半2分に繰り出したトリックプレーで試合を決定づけた。ゴール正面約20メートルのFK。セットしたボールの前でゴールを背に肩を組んだ小田、児玉、鍬先の3人が後ろに1歩、2歩、3歩と下がる。その直後。キッカーの中村がスルスルと動きだし、いきなり右足を振り抜いた。3人は瞬時に身をかがめると、視界を遮られた相手GKは完全に反応が遅れ、ボールは左隅に吸い込まれた。「決勝まで取っておこうと話していたトリックプレー。狙い通り」。昨夏の高校総体準決勝で立正大淞南(島根)に決められたプレーを逆手に取り、最高の場面で決めてみせた。

 現3年生が入学後の九州地区の新人大会。東福岡にとって優勝することが当たり前のこの大会で優勝を逃し、以来“史上最弱”と言われ続けた。昨年4月のU―18の最高峰、プレミアリーグ開幕戦ではC大阪に1―6で大敗した過去もある。だからこそ、夏の高校総体を連覇しても愚直にサッカーに打ち込み、この選手権で汚名返上に燃えていた。

 98年の優勝時はコーチを務め、02年から監督に就任した森重監督も選手権で勝てない時代が長く続いた。一昨年の高校総体を制したが、周囲は納得してくれない。ラグビー部とバレーボール部はそれぞれ3冠を達成。さらに校長室でラグビー部の優勝旗を見せられ「サッカー部もこれを持ってきてください」と言われたこともある。そんな強豪校ならではのプレッシャーに打ち勝ち、選手権のタイトルを手にした。

 かつて華麗なパスサッカーで高校サッカー界に旋風を巻き起こした東福岡。部員280人という大所帯で培ったチームワークで、三たび頂点に立った。

 ▽東福岡 1955年創立の私立男子校。サッカー部OBに日本代表の長友佑都(インテル・ミラノ)らがいる。全国トップクラスの部活が多く、ラグビー部は全国高校大会で5度優勝、バレーボール部もことし、全日本高校選手権で2連覇を遂げた。野球部も甲子園大会出場経験があり、巨人の村田修一らを輩出した。

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