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東福岡17年ぶり頂点へ、圧倒2発2冠王手!藤川恩返しV弾

[ 2016年1月10日 05:30 ]

<星稜・東福岡>前半45分、藤川がゴールを決め舌を出して喜ぶ

第94回全国高校サッカー準決勝 東福岡2―0星稜

(1月9日 埼スタ)
 昨夏の全国高校総体王者・東福岡はMF藤川虎太朗(2年)のゴールなど2―0で前回大会覇者の星稜を下し、17大会ぶりの優勝に王手をかけた。

 先制ゴールを挙げた藤川は、一目散にベンチに向かった。スタッフや控え選手が出迎える。その中にひときわ笑顔の倉橋トレーナーもいた。約束を果たした。

 「倉橋さんがずっとケアしてくれていて“点を取ったらベンチに来い”と言われていた。少しは恩返しできたかな、と思います」。前半終了間際の45分だった。左サイドのMF橋本からクロスが入る。ニアサイドに走り込んだ藤川はワントラップ後、素早く左足を振り抜き右サイドネットに突き刺した。「相手のスタミナが切れていた。思い通りのプレーができました」と胸を張った。

 今大会5試合目にして初スタメンだった。ここまで4試合はすべて途中出場。昨年9月末に捻挫した右足首の状態がなかなか回復しなかった。昨夏の高校総体では5得点で得点王になり、チームを優勝に導いた。2年生ながら本来は攻撃の中心的存在。だが、部員288人と圧倒的な選手層を誇る東福岡は手負いの状態でスタメンを勝ち取れるほど甘くなかった。

 そんな中でずっとサポートしてくれたのが倉橋トレーナーだった。駒大高との準々決勝から中3日。右足を鍛えるトレーニングを見守り、治療をしながら「得点を期待してるぞ」と声をかけ続けてくれた。この日のゴールは準決勝に間に合わせてくれた恩人にささげるゴールでもあった。

 これで97、98年度に連覇して以来、3度目の優勝まであと1勝。さらに高校総体に続く2冠となれば、史上6度目、同校では97年度以来2度目の快挙となる。連覇達成時は鹿島の全盛期を支えた本山(J2北九州)や、千代反田(元名古屋)、金古(元鹿島)らを擁した「タレント集団」だった。だが、今回は違う。Jリーグ内定者は一人もおらず、チーム結成時から「史上最弱」と言われ続けた集団が、努力でここまで勝ち上がってきた。あと1勝で「赤い彗星(すいせい)」と呼ばれた偉大な先輩たちに肩を並べる。

 ◆藤川 虎太朗(ふじかわ・こたろう)1998年(平10)7月24日、福岡県生まれの17歳。小学校時代はFC ALLORO(アッローロ)でプレーし福岡県トレセンに選出。中学時代は鳥栖U―15所属。U―15、U―16日本代表に選ばれた。好きな選手はイニエスタ(バルセロナ)。50メートル走は6秒2。1メートル70、66キロ。

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