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青森山田 後半ロスタイム2発で追いつく!守護神・広末PK止めた

[ 2016年1月4日 05:30 ]

<青森山田・桐光学園>桐光学園に勝利し応援団とハイタッチする青森山田・広末

第94回全国高校サッカー第4日 青森山田2―2(PK5―4)桐光学園

(1月3日 ニッパ球)
 青森山田(青森)は桐光学園(神奈川)との強豪対決で2―2の末のPK戦を5―4で制し、準々決勝進出を決めた。後半ロスタイムに2点差を追いつく劇的な展開でPK戦に持ち込むと、U―18日本代表GK広末陸(2年)が相手5人目のキッカーで同代表のFW小川航基(3年)を止め、勝利を手にした。

 その瞬間、GK広末はほほ笑んでいた。両校一歩も譲らず4―4で迎えたPK戦も5人目。先蹴りだった桐光学園のキッカー、エース小川と対峙(たいじ)した。緊迫した場面。互いに目と目が合う。それは駆け引きの始まりだった。

 「(小川は2回戦の)長崎南山戦でもPKを蹴っていた。情報は自分たちの方があるので少しでも動揺を誘おうと思った。(笑みは)追い打ちをかけるためです」

 左腕を上げ、GKから見て左サイドに誘うフリもした。この試合、後半18分、小川は1度PKを外していた。広末は言った。「長崎南山戦ではGKの右に決めていた。後半のPKはコースを変えようとして(左上に)外していた。だからPK戦では(小川の)自信がある方をあけて長崎南山戦とは逆方向の腕を上げれば自信がある方(右)に蹴ってくると思った」

 あえて小川が得意な右のスペースをあけて誘った。2人とも20年東京五輪を目指すU―18日本代表のチームメートだ。「代表でもPK練習はやってますし小川君の癖は少し分かってます。詳しくは言えないけど」と広末。さまざまな伏線が絡み合い一つの答えを導き出した。広末は右へ跳んだ。そして止めた。最後はこの日2得点の相手エースを止め、奇跡を完結させた。

 80分を戦い0―2。敗色濃厚だった。だが4分と表示されたロスタイムに劇的な展開が待っていた。まずCKからFW成田のヘッド弾で1点差。そしてラストプレー、最長40メートルを誇るロングスローが武器のDF原山がこん身の一投を投じた。最後はMF吉田が頭で押し込み、ついに同点。黒田監督は「奇跡です」と声を震わせた。その時点で流れは完全に青森山田に傾いていた。

 試合後、広末は「2点取られて本来なら負け試合。自分のコーチングの甘さです。でもPK戦では切り替えられた。相手を動揺させる自信はありました」と胸を張った。土壇場のセットプレーでは守護神も前線に上がった。最後まで諦めない姿勢が勝利の女神を振り向かせた。準優勝した09年度以来の8強進出。東北の雄がミラクルの予感を漂わせてきた。

 ◆広末 陸(ひろすえ・りく)1998年(平10)7月6日生まれ、東京都足立区出身の17歳。FC東京U―15深川からGKになり、青森山田へ。U―18日本代表。好きな選手はバイエルンMのドイツ代表GKノイアー。100メートル走は13秒5。家族は両親、兄、弟。1メートル83、78キロ。血液型O。

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