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北のチラベルト!札幌大谷GK坂が攻守で躍動 初勝利呼んだ

[ 2016年1月1日 05:30 ]

<札幌大谷・鹿児島城西>後半、PKで同点ゴールを決める札幌大谷GK・坂

第94回全国高校サッカー

(12月31日)
 1回戦15試合が行われ、鹿児島城西(鹿児島)と対戦した札幌大谷(北海道)は1―1からのPK戦を5―4で制し、2回戦に駒を進めた。GK坂桂輔(3年)が同点のPKを決めただけでなく、PK戦でも2度のセーブを見せる活躍。2大会ぶり2度目の出場のチームに全国初勝利をもたらした。悲願の初優勝を狙う青森山田(青森)は大社(島根)に3―2で逆転勝ち。DF原山海里(3年)がロングスローで2得点を演出して劇的勝利を引き寄せた。

 札幌大谷の“秘策”に観客席がどよめいた。0―1の後半10分。味方がPKを獲得すると、GK坂がキッカーとして登場だ。7秒間、目をつむると、7歩下がって2歩左へ。笛が鳴ってからも約20秒の時間を使って、ゆっくり助走を取った。「早く蹴れよっ!」。会場からのやじにも動じない。ラグビー日本代表FB五郎丸のルーティンにヒントを得た、小刻みに28歩も助走を取りながら相手GKと駆け引きを行う自称「チョコチョコPK」。最後は右足で右隅にぶち込んだ。

 「メンバー外の選手の分も絶対、勝とうと思った。チャンスが来てPKを決められて良かった」。試合を振り出しに戻しただけではない。PK戦では1番手のキッカーを任された。同じ助走から左隅を射抜くと、その後は2度のセーブにも成功。元パラグアイ代表のGKチラベルトばりの活躍を見せた守護神が全国初勝利の立役者となった。

 眠れる才能は、与えられた環境で開花した。4歳からサッカーを始め、積雪の多い札幌で育った。冬場にグラウンドが使えないため室内での練習となる。フットサル形式となり、GKの坂はゴロのシュートを足で止めることを徹底。「最初は難しかったけど、取り入れた」。札幌大谷がフットサルの大会に出場したことで鍛え上げられた足技が注目され、9月にU―18フットサル日本代表候補にも選出された。「チームに信頼されているし、自信を持っている」と田部監督が話すように、世にも珍しいGKキッカーが誕生した。

 将来、フットサルでの世界舞台に憧れる坂は、3月にFリーグ・エスポラーダ北海道のセレクションを受ける予定。今大会でサッカー人生に終止符を打つ。2回戦は愛知の名門、中京大中京と激突。「どれだけ守って、点を決められるか。優勝を目指したい」。“北のチラベルト”を擁する札幌大谷が、全国制覇へ名乗りを上げた。 

 ◆坂 桂輔(さか・けいすけ)1997年(平9)11月25日、札幌市生まれの18歳。4歳からサッカーを始め、大谷地小ではJ2札幌のU―12チームに所属。大谷中ではFWを任され、札幌大谷ではGK不足で守護神に専念。3年春から正GKとなった。進路は大学進学を希望。家族は両親。目標のGKはドイツ代表のノイアー(バイエルンM)。1メートル77、73キロ。

 ▼鹿児島城西GK下野 失点しても、DF陣が体を張って連続失点だけはしなかった。チームを勝たせるGKを目指してきて、最後にPK戦のチャンスが来たけど…。悔いが残っているが、3年間やってきて良かった。

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