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J1資格取得目指すJ2群馬、今後の“イメチェン”期待

[ 2015年11月18日 16:21 ]

 何ともむなしい現実だった。9月29日、Jリーグは来季16年のクラブライセンスの交付チームを発表。J2群馬はJ1の資格を失い、早々と来季もJ2以下で戦うことが決まった。1試合を残す今季のJ2群馬は現在17位。既にJ2残留を決めたが、仮に10月以降の快進撃で自動昇格圏の2位以内、昇格プレーオフ圏の3~6位に食い込んでいたとしても、その権利は放棄しなければならないことになる。群馬県出身の私としては、忘れられないニュースだった。

 Jリーグ側から“失格”のらく印を押された理由は、練習環境だった。専用または優先的に利用できる練習施設がなく、トレーニング施設基準を満たしていないと判断された。県内の施設を転々としており、地元高校の人工芝グラウンドを使う時もある“その日暮らし状態”ではJ1基準を満たさないというわけだ。

 この練習環境では、アマチュアと変わらない。昨季まで群馬を指揮していたU―22日本代表の秋葉コーチと立ち話をしていると「僕もいろいろ努力したのですが…」と厳しい台所事情だったことを明かす。天然芝、人工芝と異なる環境での練習は、プレーの不安定さや疲労の蓄積を生みだす遠因にもなる。練習施設確保のために奔走しなければいけない時もあったという。部活動のようにハングリー精神を植え付けるならいいだろうが、J2群馬はれっきとしたプロだ。今後は前橋市に建設予定の日本協会公認の「フットボールセンター」を練習拠点とし、17年のJ1資格取得を目指すという。だが「アマチュアイズムがはびこっている」と関係者が話すように、財政面も含めて問題解消は容易ではない。

 温泉の町から、Jリーグへ――。壮大な目標をぶち上げ、かつて群馬県民は熱い夢を見た。だが、今では地元の飲み会ですら「ザスパ」という言葉が話題になることは皆無だ。昨年8月の天皇杯3回戦。群馬はJ1首位に立っていた浦和を2―1で破る番狂わせを演じた。私は浦和担当だが、地元クラブの底力を目の当たりにし、まだ夢は見られると感じた。

 そういえば、かつて「ゆうまちゃん」と名付けられたキャラクターは「ぐんまちゃん」と改名され、全国区となった。13年から「ザスパ草津」から「ザスパクサツ群馬」へ名称変更したJ2群馬。今後の“イメチェン”に期待したい。 (大和 弘明)

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2015年11月18日のニュース