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本田5戦連発で2015年白星締めもダメ出し「課題は前半の戦い方」

[ 2015年11月18日 05:30 ]

カンボジア戦の後半、ヘディングでゴールを決める本田(4)

W杯アジア2次予選E組 日本2―0カンボジア

(11月17日 プノンペン)
 本田が停滞する日本に活を入れる一発だ。日本代表は敵地でカンボジアを2―0で破り、勝ち点を16に伸ばしてE組首位を守った。途中出場した本田圭佑(29=ACミラン)が1―0の後半45分にヘディングでダメ押し弾。先発8人を入れ替え苦戦したチームを救い代表単独最多となるW杯予選5戦連続ゴールで15年最終戦を白星で締めくくった。W杯予選6戦連続完封も日本代表では史上初となった。

 若手に、そして前半のメンバーに見せつけるような一撃だった。苦しい時最後に頼りになるのは誰か。それを本田が証明した。後半41分から1トップでプレーすると同45分、左サイド藤春のクロスを頭で合わせてダメ押しゴールをねじこんだ。

 「ボールがよかったですね」とクールに振り返ったゴールは代表史上初となるW杯予選5試合連続弾。85年のW杯メキシコ大会予選で木村和司が記録した4試合連続を抜き去ったことにも「意外ですよね」と冷静に感想を口にした。

 快挙に喜びは一切ない。むしろ、「きょうの課題は明らかに前半の戦い方。幅がなかった」と口調鋭くダメ出しした。3月27日のチュニジア戦以来となるスタメン落ちには「全員平等にチャンスが与えられるのは、選手と監督の信頼関係につながる」と受け入れた。しかし、チャンスを与えられた選手のプレーには黙っていられなかった。

 引いてくる相手に対し、強引な中央突破でボールを失った。序盤からハードワークをしてきた相手の勢いをへし折る先制点を決められず、カウンターを受けて決定機もつくられた。「チャンスはつくれたけど、決定力不足は簡単に解消できない」と慢性的な課題を指摘。さらに「カンボジアは最後まで走っていた。(相手が)戦術的、組織的にそうしてきた時に難しくなる」と新たな課題も露呈したことにも不安を募らせた。

 日本に対して攻撃を仕掛ける世界の強豪国と、引いて守りながら速攻を狙うアジアの国々。本田は「アジアとW杯の戦い方は全く異なる。そういう戦いを得意としている選手がそろっていないのも事実」と話した。

 自身は満を持して後半17分からピッチに入ると、ファーストタッチで違いを見せた。1分後に柏木のパスをダイレクトで受け、相手DFを引きずりながら左足でシュートまで持ち込んだ。DFの裏に抜けだして決定機をつくり、チャンスメーク役も担った。背番号4がアジア攻略法をプレーで示した。

 年内ラストマッチで15年の代表ゴールを10に乗せた。年間の2桁得点は09年に岡崎が記録した15得点以来4人目だ。屈辱のアジア杯から指揮官交代劇、ACミランでの過激批判など激動の一年。日本代表の中心は本田であることを示した。その事実は同時に日本がレベルアップしていないことでもある。本田のダメ出しこそ危機感の表れだった。

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