×

ドルト式“虎の穴”公開!ドイツ支える充実のユースアカデミー

[ 2015年11月10日 09:31 ]

ドルトムントユースアカデミーのトレーニングセンター

 日本代表MF香川真司(26)が所属するドルトムントの“虎の穴”が公開された。昨年のW杯ブラジル大会で24年ぶり4度目の優勝を果たしたドイツ代表の復活に大きく貢献したとされるのが、ブンデスリーガのユースアカデミー(下部育成組織)だ。その中でもトップクラスと評されるドルトムントの施設、指導者、予算などはどのようなものなのか。ドイツにおける選手の育成事情に迫った。

【ブンデスリーガ順位表】

 ドルトムントの郊外ブラッケルにあるトレーニングセンター。トップチーム練習場に隣接するユースアカデミーは、まるでナショナルトレセンかと思うほどの施設だった。4面半ある下部組織専用ピッチの隣にはこちらも専用のクラブハウスと寮を完備。カテゴリーは1歳刻みのU―9からU―17に加えてU―19、MF丸岡が所属するU―23の11チームに分けられ、計220人が所属。下部組織スタッフは計80人で監督、コーチ、医療スタッフのほか心理士、社会福祉士まで在籍する手厚いサポート体制を誇る。

 08年から育成部門責任者を務める元ドイツ代表MFのリッケン氏は「05年に破産寸前となったクラブが復活できた大きな要因が下部組織」と説明する。アカデミーの年間予算は300万~400万ユーロ(約4億~5億3000万円)。財政難で外部から大物選手を獲得できない中、自前の選手育成に注力した結果、14年W杯決勝で決勝点を決めたFWゲッツェ(現バイエルンM)、トップチームで活躍するFWロイス、DFフンメルスらドイツ代表を輩出した。リッケン氏は「我々のアカデミー出身者が現在ドイツ1、2部で約40人プレーしている。他クラブから得た移籍金の累計額は6000万ユーロ(約80億円)を超える。投資のリターンは大きい」と成果を誇る。

 ドルトムントをはじめブンデスリーガの育成改革はドイツの00年欧州選手権1次リーグ敗退を機にスタート。ドイツ協会は01年に1部、02年に2部の全クラブにユースアカデミー設立を義務化した。02~03年の育成組織への投資額は1、2部の36クラブで合計4785万ユーロ(約64億円)だったが、その後は一貫して右肩上がりで13~14年は同1億2015万ユーロ(約160億円)まで達した。

 ブンデスリーガのザイフェルトCEOは「13~14年の金額は過去最高だが、リーグ全体の収入でいうと約4%にすぎない」とした上で「ドイツより人口も予算も少ないベルギー、スイスなどが成果を挙げているように、長期的に育成に力を入れることは、最も低コストで大きな成果を生む」と説明。規模は違うが、財政的に苦しむクラブも多いJリーグにも何かヒントとなるかもしれない。

続きを表示

この記事のフォト

2015年11月10日のニュース