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ハリル監督自賛もマジックどこへ…また同じ交代カード

[ 2015年10月9日 08:00 ]

<シリア・日本>指示を送るハリルホジッチ監督

W杯ロシア大会アジア2次予選E組 日本3―0シリア

(10月8日 オマーン・マスカット)
 ハリルホジッチ監督が辛うじて面目を保った。グループ最大の難敵との大一番。気温35度、湿度60%超、凸凹のピッチと悪条件がそろった中、後半こそ地力の差を見せつけ3得点を挙げたが、前半の戦いぶりは不安。一歩間違えればどちらに転ぶか分からない展開だった。会見でも「ロジカルな勝利。それが目的だった」としながら、「ただ前半は満足していない」と本音もこぼれた。

 前半の日本の決定機はほぼゼロ。パスミスも多かった。見かねた指揮官は前半26分、スタンドまで響く大声で「ホタル!」と山口を叱責(しっせき)。その後もファウルなどでプレーが切れると、本田、香川、岡崎、原口らに指示を飛ばした。山口には味方DFから相手FWの間でボールを受けるようにミーティングで指示したというが実践できず、効果的な動きはできなかった。選手間の距離が間延びしてミスが目立ち、背後を突くプレーもなし。就任以来掲げた縦への速さ、鋭さは影を潜めた。

 陣形をコンパクトにして、距離感を修正して臨んだ後半は力の違いを見せて3得点。ただ、交代のカードは宇佐美、清武、武藤と代わり映えはなし。アルジェリアを16強に導いたW杯ブラジル大会で毎試合戦術や布陣を変えたマジックは見えなかった。実際、岡崎も「もっとバリエーションの話をした方がいい。両サイドのMFを中に突っ込ませてロングボールを蹴る、バイエルンのサッカーのような」と閉塞(へいそく)感への不安ものぞかせた。相手がさらに強敵で、この日のように前半で失態を犯せば、一気に崩される可能性は十分ある。

 13日はテストマッチながらFIFAランクで日本を上回るイランと完全アウェーの戦い。「我々より強い。8万人がスタジアムに入ると聞いている。もっとレベルの高い試合になる。我々もレベルの高いチームにならないと」。指揮官の本当の手腕が試されるのはこれからだ。

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2015年10月9日のニュース