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本田 首位弾だけどPKだけ…爆弾発言後の爆発ならず

[ 2015年10月9日 05:30 ]

<シリア・日本>前半、再三ゴールを外した本田は厳しい表情を見せる

W杯ロシア大会アジア2次予選E組 日本3―0シリア

(10月8日 オマーン・マスカット)
 本田が消化不良の3戦連発だ。日本代表は8日、政情不安により中立地オマーンで開催されたW杯アジア2次予選でシリアに3―0で勝利。負ければ自力での1位突破が消滅する一戦で、後半10分にFW本田圭佑(29)がPKで先制弾を決めて口火を切ったが、自身にもチームにも内容には課題を残した。4試合を終えて勝ち点を10に伸ばし、E組の首位に浮上。13日にはアウェーでイランと親善試合を行う。

 3―0の大勝も、本田にとっては後味の悪さが残った。後半10分、岡崎が得たPK。GKの動きを冷静に見極め、左足のゴロでゴール左に流し込んだ。前回シリアと対戦した11年1月13日のアジア杯1次リーグ(カタール)でも決勝のPK弾を決めた男が、ようやく均衡を破った。

 釜本、原、カズ、岡崎に次ぐ、史上5人目となる通算3度目のAマッチ3戦連発。年間2度の3戦連発は93年のカズ以来の快挙だが、本田の胸中は複雑だった。「攻撃に関してはまだまだだと思った。流れの中から点を取れたと思いましたし、実際チャンスもあったんで。精度、パワフルさが欠けていた」。2―0の後半43分には、ヒールパスで宇佐美の追加点をアシスト。右MFだけでなく、中央、逆サイドにまで顔を出して2得点に絡んだが「中に入ってないとできないプレーは何度かできた。外に張っていては何も見せられずに終わっているのが大体なので」。圧倒的な違いを見せつけられないまま、終了の笛が鳴った。

 高みを目指しているからこその、モヤモヤだった。ACミランで2戦連続出番なしに終わり、0―4で完敗した4日のナポリ戦後、クラブ幹部やミハイロビッチ監督らを痛烈に批判した。「なんで(自分が)出られなくなったか分からない」「敗戦から学ばないと再建には程遠い」。爆弾発言はイタリア国内でも波紋を広げたが、本田自身は「逆算している」と自信の笑みを浮かべた。その背景には、5年前の“成功体験”がある。CSKAモスクワ所属の10年。ボランチで起用されていた本田はスルツキ監督(現ロシア代表監督兼任)に攻撃的な位置での出場を直訴した。「ボランチならば出場しなくて良い」とスパルタク・ナリチク戦(7月25日)はベンチ外となった。だが続くスパルタク・モスクワ戦(8月1日)で攻撃的MFに入ると存在感を発揮。力ずくでポジションを奪い取った。

 「サッカー選手である前に俺は一人の男でありたい」。戦うべき時が来れば、たとえ相手が強大でも逃げることはしない。その生きざまが、今の本田をつくり上げた。だからこそ、代表戦2試合で圧倒的なパフォーマンスを見せてミラノに戻る必要があった。

 1得点1アシストを記録したが、格下相手だけに不完全燃焼。「まだサポーターが満足するようなサッカーを見せられていない。いい意味で裏切るようなプレーをしたい」。13日のイラン戦で、真価を見せるしかない。

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