エディーJに見たハリルJの目指す理想のモデル 必要なのは柔軟な発想力
英イングランドのピッチに、サッカー日本代表が目指すべき理想のモデルを見た。19日、ラグビー日本代表がW杯の初戦で南アフリカを破る歴史的金星を手にした。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は12年4月の就任時に「日本人は密集でもスペースを見つけ、狭い所でも速い動きができる。スキルの高さも感じる。頭を使うことにも優れており、オーガナイズ、組織だったプレーも得意としている」と感じていたという。
その特性を生かすためには弱点であるフィジカル強化が不可欠と考え、チームの肉体改造に着手。さらに「相手の懐に素早く入ってテークダウンするスキルを吸収したい」と元総合格闘家の高阪剛氏をスポットでコーチに招へい。他競技からもヒントを得て、苦手の肉弾戦を克服してきた。
エディーHCが就任時に感じた「日本人は密集でもスペースを見つけ――」との特性は現在のサッカー日本代表の評価と酷似している。ハリルホジッチ監督は就任後に「デュエル(決闘)」という言葉を使い、球際の戦いの重要性を強調。徹底的な体脂肪チェックや個別に筋力トレメニューを与えるなどフィジカル面の強化に着手している点も、3年半前のラグビー界と重なる。
となると、サッカー界に足りないものは柔軟な発想力か。合宿期間が国際Aマッチ前だけという時間的な制限もあり、現時点でハリルホジッチ監督から格闘家をコーチに招へいするような革新的なアイデアは出ていない。アルジェリア代表を率いてW杯16強などの経験を持つ指揮官は「私はフットボールを知っている」と度々、口にするが、時にはエディーHCを参考にして、自身の知らない分野の指導法を取り入れるような工夫があってもいいと思う。
ラグビーの歴史的金星はネット上で「J3クラブがイングランド代表に勝った(サッカー)」「ヤムチャがベジータに勝った(ドラゴンボール)」などと例えられているが、チームの取り組みを振り返れば、単なるフロックではないことは明白だ。3年半前のラグビー日本代表と長所、短所、強化方針も重なるハリルジャパン。方法論さえ間違わなければ、ロシアでのジャイアントキリングも夢ではない。(木本 新也)
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