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武藤 衝撃2発で勝利導く!最高の手応えで日本代表合流へ

[ 2015年8月30日 05:30 ]

ホームでの大勝に貢献しサポーターと喜びあう武藤(AP)

 マインツの日本代表FW武藤嘉紀(23)が29日、ホームのハノーバー戦で2得点を決めた。1トップで先発すると前半15分、左足で記念すべき移籍後初ゴールを決め、同29分には左CKからヘディングで追加点。後半2分にはMFマリが決めた3点目の起点となった。後半42分に退くまで全得点に絡む活躍でチームを3―0の勝利に導いた。ドイツ1部では日本人通算16人目の得点、出場3戦目は日本人歴代3位タイのスピード記録となった。

 鮮烈すぎる武藤のゴールショーだ。前半15分、らしさが存分に詰まった初ゴールが決まる。相手DFラインと駆け引きを繰り返し、オフサイドすれすれのタイミングで裏に抜け出す。ゴール左45度、GKと1対1となった時点で勝負はついた。腰をひねりながら左足一閃(いっせん)。ボールは右ポストを直撃、相手ゴール内へ吸い込まれた。「狙い過ぎたけど入って良かった。肩の荷が下りた」と笑った。

 完全に“ゾーン”に入った。前半29分、今度は左CKからDFベルの折り返しに頭で合わせて早くも2点目。初ゴール直後はサポーターに向けて両手を広げ、喜びを爆発させた。2点目では右手の拳を握り締めガッツポーズした。後半42分、交代を告げられるとシュミット監督から“お辞儀”で迎えられた。ドイツでは珍しい武藤の個人チャント(応援歌)が場内に響いた。サッカーの本場で完全に認められた。

 ドイツ1部での得点は日本人通算16人目、初得点した試合で複数ゴールは初めて。全ては自分らしさを追求した結果だ。1点目をアシストしたスペイン人MFハイロとは開幕前のキャンプで同部屋だった。武藤が無得点に終わった前節23日のボルシアMG戦後、2人は互いに片言の英語を駆使しながらパスのタイミング、抜け出す動きを確認しあった。2人の呼吸がハノーバーの守備ラインを切り裂いた。

 シュミット監督からすれば武藤のゴールは必然だ。ボルシアMG戦での武藤は5度もオフサイドを記録。指揮官は「相手DFラインにとってこれほど嫌なことはないだろ」とむしろ得点の予兆と捉えていた。武藤も「もっと行けと言ってくれたのが大きかった」。ボルシアMG戦の走行距離12・4キロはチーム2位、スプリント数29回は同1位。明らかに前線を活性化させ、この日の試合ではゴールにつなげた。

 移籍後、昨季までマインツで2年連続2桁得点のFW岡崎(レスター)と何度となく比較されてきた。「前線にいる最高のDFとしても役割を務めてくれる。シンジのようなプロフェッショナルだ」と指揮官。MFマリの決めた3点目も武藤のチェイシングが起点だった。「3得点に絡めたのは自信になる」と武藤。次は9月3日、日本代表としてW杯アジア2次予選カンボジア戦(埼玉)が待つ。デビューから3戦、ドイツで得た大きな手応えを手に武藤は凱旋帰国する。

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