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ボルフスブルク復権のワケ GMと監督を他クラブから“強奪”

[ 2015年8月18日 11:30 ]

フランクフルト戦でゴールを決め喜ぶボルフスブルクのペリシッチ(右)(AP)

 ストップ・バイエルンMの最右翼だ。14日に開幕したブンデスリーガは16日に2試合が行われ、昨季2位のボルフスブルクはホームでMF長谷部誠(31)とMF乾貴士(27)が所属するフランクフルトを2―1で下して白星発進した。今月1日のドイツスーパー杯で勝利するなど、リーグ3連覇中の大本命バイエルンMの対抗馬として前評判は高い。08~09年の初優勝後の低迷から脱し、昨季ドイツ杯を制すなど躍進した理由は――。

 ボルフスブルクが序盤の2得点で好スタートを切った。前半13分に左サイドを崩して先制。昨季のドイツ最優秀選手に選ばれたデブルイネのパスから、新加入のクルーゼが長谷部をかわしてクロス。ペリシッチが頭で今季1号を決めた。4分後には右スローインをペリシッチ、クルーゼがつないで昨季チーム得点王のドストが追加点。直後に1点を返されながらも逃げ切り、ヘッキング監督は「運もあったが結果はハッピーだ。チームはもっと良くなる」とドイツ代表シュールレ、主将のGKベナリオらが負傷欠場する中で、白星発進に手応えを口にした。

 昨季はリーグ2位と躍進し、ドイツ杯で初優勝。今季はバイエルンMが狙う史上初の4連覇を阻止し、長谷部が在籍していた08~09年以来2度目のリーグVを見据える。マガト監督の補強失敗などから10~11年は15位と残留を争うまで低迷。再建の鍵は、フロントと現場のトップを他クラブから“強奪”したことだった。

 まずはアロフスGM。12年10月に解任されたGM兼任のマガト監督の後釜として同12月、ブレーメンに400万ユーロ(約5億5200万円)といわれる高額違約金を支払って強化責任者に迎えた。中堅のブレーメンを03~04年にリーグVに導いた名参謀が、指揮官に据えたのがヘッキング監督。“弱小”ニュルンベルクを10~11年に6位に導いた手腕が評価され、清武がプレーしていたシーズン中の12年12月に引き抜かれる形で就任した。

 ブレーメン時代にドイツ代表エジル(現アーセナル)を見いだしたGMの手腕をバックアップするのは、親会社フォルクスワーゲンの潤沢な資金だ。昨年1月にチェルシーからデブルイネを移籍金2000万ユーロ(約28億円)で獲得。今年2月にはチェルシーからクラブ史上最高の移籍金3200万ユーロ(約44億円)でシュールレを補強した。堅実経営のドイツで際立つ大型補強について、ドルトムントのバツケ社長が「際限なく金を使っている」と名指しで批判したほどだ。

 デブルイネは今夏にマンチェスターCに引き抜かれる可能性はあるが、5月にはアロフスGM、8月にはヘッキング監督と契約を延長。長期展望の下、同GMは「バイエルンとの差はまだあるが、追いつく1番手でありたい」と名門超えを目標にさらなる躍進を狙う。

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