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武藤3分弾!92年の歴史変えたが…北朝鮮に黒星発進

[ 2015年8月3日 05:30 ]

<北朝鮮・日本>先制ゴールを挙げるも北朝鮮に逆転負けを喫し力なく声援に応える武藤

東アジア杯男子 日本1―2北朝鮮

(8月2日 中国・武漢)
 武藤の最速デビュー弾が収穫だった。2日に開幕し、北朝鮮との初戦に挑んだ日本代表は、前半3分にトップ下で代表初出場を果たしたMF武藤雄樹(26=浦和)が歴代29人目となるデビュー弾を挙げた。初出場ゴールの最速記録となる先制点で、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)へ生き残りを猛アピールしたがチームは1―2でまさかの逆転負け。前日のなでしこジャパン同様、大会連覇へ向けて厳しい黒星スタートとなった。韓国は中国を2―0で下した。日本は5日に韓国と対戦する。

 電光石火で決めた武藤のデビュー弾が、唯一の光明だ。前半3分、遠藤の鋭い右クロスに中央で反応。スライディングでブロックした相手DFをいなしながら、左足ダイレクトでネットを揺らした。神出鬼没に顔を出す抜群のポジショニングが生きる“らしい”形。「レッズでもよく決めているゴール。ああいう形はいつも狙っているし、(遠藤)航がいいクロスを上げてくれた」。北朝鮮を意気消沈させる先制点に、喜びを爆発させた。

 記録にも残る衝撃的なゴールだった。歴代29人目となる代表初出場での得点。前半3分に決めた武藤のゴールは、歴代最速記録にもなった。初招集からいきなりトップ下で先発したが、ハリルホジッチ監督への鮮烈なアピールになった。だが、逆転負けを喫しただけに武藤は「1点は1点なんで。最速だからうれしいというのはあまりない。次は勝利につながるゴールを絶対に決めたい」と余韻に浸ることはない。得点以外にも決定機を多くつくっただけに「もう1点取れば、試合を終わらせることができた」と猛省。

 初陣の課題は残るが、千載一遇のチャンスをモノにした。東アジア連盟が発表した今大会の予備登録50人のリストには大枠の44人が先に決められ、残り6選手が追加されていた。FW登録の武藤はまさに50番目にリストアップされトップ下候補の柴崎(広島)の負傷で滑り込んだ。

 仙台の準レギュラー格から今季、浦和に移籍。6月の月間MVPに輝くなど、主力として浦和の第1ステージ優勝に貢献。一気に成り上がった。雑草魂を忘れないからこそ、結果を残すことができた。カズ(現横浜FC)に憧れてJリーガーを目指したが、夢破れて武相(神奈川)から流通経大へ進学。当時の1年がミーティングで集められ、恩師の中野監督から「君たちは高校からプロに行けなかった時点で技術では負けている。だったらどうする?走って戦うしかないんじゃないか」と言われたという。「その通りだと思った」と武藤はうなずいた。同大グラウンド近くの公園には約200段の石段を走って上り、強じんな足腰と精神力を磨いた。

 武藤が任されたトップ下は、柴崎や香川(ドルトムント)もひしめく日本の最激戦区だ。「僕はデビューしたばかりなので、(香川が)ライバルとまでいうのは分からない。運動量や前に飛び出したり、仕掛けのところの自分の持ち味は出し続けていきたい」。国内組で挑む東アジア杯は残り2試合。代表定着へ次こそ勝利に導くゴールを決める。

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