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ハリルJ一丸継続に必要な“息抜き”コンビニ弁当じゃ寂しい

[ 2015年7月16日 10:00 ]

ナビスコ杯のFC東京―新潟戦を視察する日本代表のジャッキー・ボヌベー・コーチ(左)とリカルド・ロペス・フェリペ・GKコーチ

 ある昼下がりの東京・文京区JFAハウス。正面玄関前で張り込みをしていると、日本代表のジャッキー・ボヌベー・コーチ(54)からドヤ顔で声を掛けられた。「美味しい弁当店を見つけたから付いてこい」。日本協会担当になって約半年、美食の国フランスの出身者を唸らせる弁当店があったとは知らなかった。期待に胸を膨らませて後を追うと、着いた先はなんと某コンビニエンスストアだった。ハリルホジッチ監督の参謀は、10種類を超える弁当の中から鮭弁当を選択。食品添加物がたっぷりと使用された一品を手に「これがお気に入りなんだ」と満足げな笑顔を見せた。

 ハリルホジッチ監督就任後の日本代表はJリーグの試合明けには視察した試合の報告などのため、必ずスタッフ会議を開催。それ以外の日も日常的に日本協会に集まり意見交換を行っている。14年W杯ブラジル大会を指揮したザッケローニ元監督、八百長疑惑で解任されたアギーレ前監督時代はスタッフ会議は月に1度程度のペースだっただけに、スタッフの仕事量が格段に増えた。

 ある代表スタッフは「急に厳しい要求が来ることがあるので気が抜けない。オシムさん、岡田さんの時に似た緊張感があり、充実している」と証言する。新体制発足から約5カ月。引き締まった雰囲気のもと、チームが動いていることが感じ取れるが、一方ではこんな声もある。他の代表スタッフは「監督が夜遅くまで監督室にこもって仕事をしているので帰りにくいんですよね」とボヤく。ボスより先に帰宅することは御法度的なムードがあるという。

 連日、日本協会に出勤して、会議、会議、会議…の連続。監督が帰るまではオフィスを離れられないとなれば、一歩間違えば過重労働を課す“ブラック企業”になりかねない。新体制発足から間もない現時点でスタッフに強い結束力があることに疑いの余地はないが、一丸ムードを継続するには今後、適度な息抜きも必要になると思う。アメとムチをいかに使い分けるのか、ここからがハリルホジッチ監督の手腕の見せどころ。コンビニ弁当が数少ない楽しみという状況が続けば、あまりにも寂しすぎる。(木本 新也)

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2015年7月16日のニュース