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なでしこ女王奪回へ 底上げへ全世代に通じるスタイル構築を

[ 2015年7月11日 08:00 ]

今大会なでしこ最年少は22歳の岩渕。さらなる若手の底上げが必要だ

 佐々木監督の下、なでしこジャパンは主要大会で3大会連続で決勝に進出した。指揮官が来年のリオデジャネイロ五輪まで指揮を執ることは既定路線となっているが、4年後のW杯フランス大会、そして5年後の東京五輪まで見据えれば、後任の育成も不可欠な要素だ。

 男子代表に目を向ければ、U―23世代の手倉森監督がA代表のコーチを兼任するなど世代を超えた指導を目指す。女子も若手発掘を目指す「なでしこチャレンジ合宿」を行うなど指揮官が有望な若手を手元に置いて指導することで底上げを狙ったものの、今大会最年少は前回W杯からいる22歳の岩渕。4年間で40人以上の新たな選手をA代表に招集しながら、最後は指揮官の戦術に理解度が高い選手が優先された。

 将来を見据え、世代間の垣根を越える必要がある。ある中堅選手は「若手の突き上げがない」と嘆く一方で、A代表を経験した若手は「決まりごとが凄い多い」とこぼすなど対応に四苦八苦。世代間の戦術の違いは世代交代が進まない壁にもなる。昨年のU―17W杯で優勝した“リトルなでしこ”を指揮した高倉麻子・現U―19代表監督をフル代表のコーチに入閣させるなど“オールなでしこ”で、全年代を通じた揺るがぬスタイル構築が必要だ。佐々木監督は「なでしこのコーチの待遇を上げてやりたい」と関係者に漏らすなど女子サッカー界全体の指導者育成の工夫も求められる。

 振り返れば4年前、伏兵のなでしこは一気に世界の頂点に駆け上がった。選手の底力もあって2大会連続のW杯決勝進出という好成績を叩き出した。だが、14年のU―20W杯出場権を逃すなど未来は決して明るい要素だけではない。地に足を着けた底上げがなければ、強豪国という位置から転げ落ちる結果にもなる。 (特別取材班)=終わり=

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2015年7月11日のニュース