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「なぜ海外組視察しない?」状態把握せず選考、駒不足深刻に

[ 2015年7月9日 12:00 ]

オーバーウエートで左膝を痛めていた永里

 女子W杯カナダ大会で有吉や宇津木ら新戦力が台頭したなでしこだが、実は深刻な駒不足とも戦っていた。対戦相手と力量差があった1次リーグでは登録全23選手がピッチに立った一方で、決勝トーナメントでは先発を固定。交代枠での起用は準決勝まで岩渕と澤に限られ、2人に加えて決勝で投入された菅沢も効果的とはいえなかった。

 もちろんサブ組も試合に出るために必死だった。「個人的にはコンディションが良かったので悔しい」と中堅の上尾野辺は言った。ピッチに立つ準備ができている選手がいる一方で、プレーに不安を抱える選手もいた。実は、大儀見の妹・永里はオーバーウエートで左膝を痛めていた。国内合宿序盤から戦術練習に加わらず、カナダ入り後も“一芸”のミドルシュートを振り抜けない場面も多かった。出場機会はエクアドルとの1次リーグ第3戦、後半30分からの途中出場にとどまった。

 3月のアルガルベ杯後、海外組の視察も頭にあった佐々木監督だが、結局、国内リーグの視察に専念。FW京川(INAC神戸)やFW横山(長野)ら好調な国内組の状態を自ら確認しながら、永里については同じドイツでプレーする姉の大儀見からしか情報を得ていなかったという。「なんでノリさんは(海外組を)見に行かないのか?」と話す関係者もいた。選手の中に不満の声があり、不透明な選考過程に愚痴をこぼす選手もいた。

 試合数が増えた今大会から登録メンバーは2人増の23人になり、メンバーの入れ替えも初戦の24時間前まで可能だった。スイス戦で負傷した安藤が離脱する誤算もあったが、右膝打撲の岩渕や左膝を入念にケアしていた川澄まで状態を悪化させていたら…。大会期間中に右肩を脱臼した山根、右足首捻挫の菅沢の状態が軽度でなかったら、決勝までたどり着けなかった可能性もある。五輪の選手登録枠は今回のW杯より5人少ない18人。的確なメンバー選考も金メダルへの鍵を握る。(特別取材班)

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2015年7月9日のニュース