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澤 ラストW杯の完全燃焼誓う「悔いなく一瞬一瞬を楽しみたい」

[ 2015年7月6日 05:30 ]

練習場に姿を現した安藤(最前列中央)と記念撮影する澤(最前列左端)らなでしこイレブン
Photo By スポニチ

 女王のラストダンスだ。W杯カナダ大会で連覇に王手をかけたなでしこジャパンは5日午後4時(日本時間6日午前8時)に米国と決勝で激突する。男女を通じてW杯最多6度目の出場を誇るMF澤穂希(36=INAC神戸)は、自身最後と決めた舞台で最終戦を迎える。守備の切り札としてベンチ待機するレジェンドは、たとえピッチに立てなくても自らの役割に全てを注ぐことを誓った。また、負傷でチームを離脱していたMF安藤梢(32=フランクフルト)がチームに合流した。

【試合速報 女子W杯決勝T なでしこジャパンメンバー】

 不安、緊張、期待…。レジェンドは全ての感情を超越していた。大一番を控えた最終調整。澤は時折笑顔を見せ、メニューをこなす。試合に出るか出ないかは関係ない。全てをやり切りたかった。「前日の練習を終え、いい準備ができて心も体も整った」。そう話しながら笑い、澤は続けた。

 「本当に楽しみ。チームの雰囲気もいいし、みんな笑顔も多い。このメンバーでやるのは明日が最後。悔いなく、一瞬一瞬を楽しめたら」

 16歳で初めてW杯に出場し、これが6回目の大舞台となる。36歳になった司令塔は過去と役割が違う。今大会6試合中5試合の出場で先発は1次リーグ2試合のみ。準決勝イングランド戦は出場機会がなかった。「今まで自分が味わったことのない経験」。心の中には?藤もあるが、全てを受け入れると決めている。

 優勝した前回11年ドイツ大会は5得点を挙げて得点女王、MVPにも輝いた。今大会は無得点ながら、守備の切り札としてピッチに立てば、激しいチャージと鋭いスライディングで攻撃の芽を摘む。試合に出なくても、ピッチの選手のために給水に動く。「陰でたくさんの方々が支えている。出る11人がみんないいコンディションになるためにスタッフも(控えの)選手も全力で戦っている」。仲間のため、チームのために全力を尽くす。

 目に焼き付いている光景がある。「4年前も山郷(のぞみ)さんがチームのために全力でサポートしてくれた」。主将として臨んだ前回W杯、澤の傍らに裏方に専念していたチーム最年長GKの姿があった。伝統的に最年長選手に与えられる一人部屋。4年前の山郷のように自分とゆっくり向き合い、決意を固めた。「今回は自分がそういう位置。みんなのモチベーションだったり、微力ですけどチームがいい状態でできたら」。主将の宮間を支え、右膝打撲の岩渕には自らの経験を引き合いに「後悔しない選択をしなさい」と語りかけた。ベテランの存在がなければ、連覇へ王手をかけることはなかった。

 昨年5月のアジア杯以降は代表を離れ、米放送局から今大会の解説者という屈辱のオファーを受けた。それでも練習に打ち込み、たどり着いた人生最後のW杯は泣いても笑っても決勝で幕を閉じる。「自分の位置付けとして最後のW杯と思っていた。悔いなく全力でやりたい。出場のチャンスがあれば一瞬一瞬を楽しみたい」。なでしこの象徴が、有終の美を飾る。

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