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イングランド戦のヒロインは宇津木!中盤制圧 こぼれ球拾いまくる

[ 2015年7月2日 05:30 ]

笑顔で練習場を後にする宇津木

女子W杯カナダ大会準決勝 日本―イングランド

(7月1日 エドモントン)
 W杯カナダ大会で連覇を狙うなでしこジャパンは1日午後5時(日本時間2日午前8時)、イングランドと準決勝で激突する。ダブルボランチの一角で先発が濃厚なMF宇津木瑠美(26=モンペリエ)は、フランス仕込みの球際の強さで難敵封じに意気込んだ。主軸に台頭した“クールビューティー”が、強い日差しの消耗戦でも中盤を制圧する決意だ。また30日(同1日)の準決勝で米国がドイツを2―0で下し、なでしこが決勝に進出した場合は米国と2大会連続の対戦になることが決まった。

 なでしこきってのビジュアル派が、難敵撃破へのキーパーソンだ。過去2分け2敗と苦手にしているイングランド戦を前に、宇津木は落ち着いていた。「攻撃の選手が攻撃を、守備の選手が守備をしやすいように、その合間の仕事をやらないと。どれだけ(ボールを)拾えるかが鍵」。中盤の攻防が、試合の流れに直結すると分かっている。

 持ち前の激しい球際でのプレーで、相手の生命線を消し去る。イングランドは多彩な布陣を敷く柔軟采配だが、ロングボール主体のシンプルな攻撃が軸だ。FWに当てたセカンドボールを拾えるか。相手の得点源のセットプレーを減らせるかどうかが勝敗を左右するが「持っているものを出せれば、全然勝てない相手ではない」と自信を見せる。

 気温30度超となったデーゲームの準々決勝オーストラリア戦は体格で勝る相手への激しいタックルで攻撃の芽をつみ、相手CKを0本に抑えて完封した試合でMVPの勲章が与えられた。強烈な日差しが照りつけるエドモントンでの連戦も抵抗はない。「太陽が熱くても自分たちの方が頑張れる」。五輪、W杯の主要大会で修羅場をくぐり抜け、4大会連続で準決勝進出。精神力はなでしこが上という自負がある。

 フランスに渡り、5年になる。モンペリエの練習は人工芝で行われ、足腰は鍛えられた。激しい球際にも慣れ、ホットヨガで柔軟性も養った。休日はパリに出向き、散策やショッピングに夢中になるなど“美”も追究。感性豊かな国での経験が、安定したパフォーマンスを生みだす「人間力」につながったという。左サイドバックでスタートした今大会は決勝トーナメントから女王・澤らを押しのけ、本職であるボランチの先発に名を連ねる。途中出場2試合で出場時間13分に終わった前回ドイツ大会から、今大会はフル出場4試合で360分ピッチに立った。17世紀後半から栄華を極めたフランス国王ルイ14世ならぬ、なでしこの“ルミ王朝”の幕開けだ。

 12年ロンドン五輪は右膝じん帯損傷で落選。解説者として見守ったが、決勝に立てない自分が悔しかった。茶髪をしばり上げ、ばっちりメークのクールビューティーも「目立たないところをどれだけ丁寧にやれるかがボランチ」と泥くささを忘れない。存在感が増す26歳が、なでしこを2大会連続の決勝進出に導く。

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