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五輪落選から3年 有吉初ゴールの裏にあった女子サッカー環境向上

[ 2015年6月24日 17:30 ]

オランダを下し、GK海堀(左)と喜び合う有吉(AP)

女子W杯カナダ大会決勝トーナメント1回戦 日本2―1オランダ

(6月23日 バンクーバー)
 なでしこジャパンが1次リーグから4連勝で2大会連続のベスト8入りを決めた。前半10分にDF有吉佐織(27)が代表初ゴールとなる先制弾を決め、後半33分にMF阪口夢穂(27)が追加点。現役ラストイヤーの昨季まで両選手とチームメートで、かつて代表MFとして2度のW杯に出場した小林弥生さん(33=日テレ・ベレーザ育成組織アシスタントコーチ)にオランダ戦について聞いた。

 まずは日本の8強入りに「良かった!すごくうれしい!」となでしこOGとして思わず喜びが口をついて出た小林さん。そして、チームの勝利、後輩2人の大会初ゴールに感激しながらも冷静に勝利の立役者の1人にFW大野忍(31)の存在を挙げた。

 「大野は真ん中でプレーすると、より彼女の良さが出る。それが、この試合で良かった点の1つだと思います」とし、今大会初めて大儀見と2トップを組んで先発した大野のプレーを「大儀見との距離感も良かったし、2人のパス交換もあって良かった」と評価。

 「大野がボールを受けて前を向いた時に彼女の良さが出る。左サイドバックの鮫島へのパスなどに大野らしさが表れていた。オランダの3トップの両サイドと、日本のサイドバックの駆け引きの中で、鮫島は積極的に上がった。そして、チームとしてDFラインのリスク管理をしながら、攻撃に参加した。それが有吉の先制点につながった」と振り返り、「今大会調子の良かった有吉がゴールを決めたことは本人はもちろん、チームとしても良かった。有吉の笑顔を見て私は本当にうれしかったけれど、それはなでしこの皆も同じだと思う。それが選手たちの笑顔から伝わってきた」と喜んだ。

 そして、3年前の12年ロンドン五輪で代表から漏れ、バックアップメンバーに回った有吉について「チームで努力して、筋トレも継続して頑張ってきた姿を見てきたので本当にうれしい」と喜んだ上で「4年前のW杯優勝で徐々に女子サッカーを取り巻く環境が良くなったからこそ、筋トレなど継続的に続けることができるものが増えた」と周囲への感謝も忘れなかった。

 ◆小林 弥生(こばやし・やよい)1981年(昭56)9月18日生まれ、東京都多摩市出身の33歳。ボランチからFWまでこなす万能型選手として日テレ・ベレーザひと筋にプレー。3度の大怪我を乗り越え、2000年に最多得点に輝くなどなでしこリーグ通算223試合に出場し、51得点をマーク。8度のリーグ優勝、7度の全日本女子選手権大会優勝など数多くのタイトル獲得に貢献した。女子日本代表としても1999年、2003年と2度のW杯と04年のアテネ五輪に出場し、国際Aマッチ通算54試合12得点。惜しまれつつ昨季限りで18年間の現役生活に終止符を打った。現在は日テレ・ベレーザの育成組織アシスタントコーチと、日本サッカー協会が主催する「こころのプロジェクト 夢の教室(ユメセン)」でスペシャルスタッフを務める。

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