UEFAがW杯ボイコット示唆、背景に根深い“欧州至上主義” 

[ 2015年6月2日 08:30 ]

FIFAの会長選挙で5戦を果たしたブラッター会長(右)を祝福したプラティニ氏だったが…

汚職事件とブラッター会長辞任拒否でFIFAと対立激化

 欧州サッカー連盟(UEFA)が国際サッカー連盟(FIFA)からの脱退も辞さない強硬姿勢を見せている。もともと組織運営やW杯招致疑惑をめぐって現体制に反発していたが、現職の副会長2人を含む14人が起訴された汚職事件の発覚と、責任を問われたゼップ・ブラッター会長(79=スイス)が辞任を拒否して5選を果たしたことで対立が激化。W杯のボイコットさえちらつかせており、予断を許さない状況だ。

 UEFAは今月6日、欧州CL決勝が行われるベルリンで会合を開き、今後の方針を決定する。「全ての可能性を話し合う。私は望んでいないが(W杯ボイコットの)提案もあるだろう」。プラティニ会長はFIFA会長選直前の5月28日に明かした。一方、FIFAのブラッター会長はプラティニ会長の辞任勧告を拒否し、UEFAが後押ししたFIFA副会長のアリ・フセイン王子(ヨルダン)を破って5選が決定。「全員許す。しかし、忘れることはない」とUEFAの“反逆”に嫌悪感を示した。

 UEFAが“反ブラッター”を主張する表向きの理由は、汚職事件など度重なる不祥事を防げない体制の刷新にある。だが、欧州出身者以外で初めてFIFAのトップに就任したアベランジェ前会長(ブラジル)の頃から対立の構図はあった。

 欧州CLや欧州選手権を主催するUEFAは13~14年総収入が17億3040万ユーロ(約2340億円)と、FIFAの14年収入(約2580億円)に匹敵。他の大陸連盟のようにFIFAからの分配金や助成金に頼る必要がなく強い発言権も持つが、FIFA加盟協会は53と全体の4分の1にすぎない。そこでアベランジェ前会長は“大票田”であるアジアやアフリカを援助する代わりに支持を取り付け、W杯の出場枠増や開催国決定の投票時などに利用してきた。ブラッター現会長も「非欧州」優遇の方針を受け継いで権力を掌握し、W杯の18年ロシア大会や22年カタール大会決定時に“意向”を発揮。“自分たちこそサッカーの中心”とプライドの高い欧州勢の反発は高まっていった。

 世界トップの実力を誇るクラブの存在や豊富な資金力からいっても、UEFAはFIFAを脱退しても自立は可能だ。だが、過去20回のW杯の半数を開催し、第1回大会を除いて必ず決勝に進出している欧州勢抜きではW杯は成立しない。W杯が最大の収入源であるFIFAが力を失えば、欧州以外のサッカーの発展を見捨てることにもつながる。だからこそ「ボイコットは悪い武器」(ドイツ協会ニーアスバッハ会長)とUEFA内も一枚岩ではない。

 欧州中心の世界しか認めたくないUEFAに、“数の暴力”で対抗してきたFIFA。小国からすれば金持ち同士のケンカにも見える対立を、有力選手を抱える代理人は「FIFAもUEFAも透明ではなく、マフィアみたいな組織だ」と表現している。

 ▽UEFA(欧州サッカー連盟) 欧州の各協会を統括する団体で1954年に設立。本部は当初パリで、95年にスイスのニヨンへ移転。代表チームの大会は4年に1度の欧州選手権など、クラブチームでは欧州CLと欧州リーグなどを主催する。加盟協会は54(ジブラルタルはFIFA未加盟)で、かつてアジア連盟(AFC)所属だったイスラエルやカザフスタンも加盟している。6代目となるプラティニ現会長は07年に就任。

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