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南アW杯で元副会長側に巨額賄賂か 訴追対象、拡大も

[ 2015年5月28日 23:18 ]

 国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件で、南アフリカが招致した2010年のワールドカップ(W杯)をめぐり、南ア側からFIFA元副会長側に1千万ドル(約12億円)の賄賂が渡った疑いがあることが27日、分かった。米検察の起訴資料で明らかになった。南アのラデベ大統領府相は「南アでやましいことがあった形跡はない」と反論した。

 捜査を主導するニューヨークのブルックリン連邦地検は「(今回の起訴は)取り組みの端緒であり、終わりではない」と表明し、徹底捜査を宣言。訴追対象はさらに広がる気配だ。スイス当局はチューリヒのFIFA本部を家宅捜索し、電子データを押収。米欧にまたがる大掛かりな捜査に発展した。

 起訴資料などによると、南ア側からの賄賂は起訴された14人に含まれるジャック・ワーナー元副会長(トリニダード・トバゴ)側に渡ったとされる。モロッコなどを退け南ア開催を決めた04年の理事会メンバーで、AP通信によると27日に自国で当局に出頭、逮捕された。米国では起訴が逮捕に先行することがある。

 米当局はスイスが逮捕した現職副会長ら7人の引き渡しを求めているが、ロイター通信は28日、7人全員が拒否していると伝えた。

 起訴された14人の内訳は、南北の米大陸とカリブ海諸国を中心としたFIFA関係者計9人のほか、業者側がスポーツ関連代理店と放送会社の計5人。FIFA傘下の地域機構が管轄する国際試合をめぐり、機構幹部らが放映権やスポンサー権で便宜を図る見返りに、業者から賄賂を受け取ったとされる。

 米検察は不正利得や資金洗浄を禁じた法律を適用した。米国外に住む外国人が起こした犯罪でも、米国の銀行が利用されたりすれば、捜査の端緒になり得るという。

 米当局は起訴資料の中で、氏名不詳の共犯者の存在に言及。ブラッター会長を捜査対象としているかどうか明らかにしていない。米当局とは別に、スイスの捜査当局は18年ロシア大会、22年カタール大会の招致活動について捜査している。(共同)

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2015年5月28日のニュース