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佐々木監督 若手に“オール澤化”厳命で紅白戦から早速効果

[ 2015年5月23日 05:30 ]

紅白戦の合間に澤(左)と選手を見つめる佐々木監督

 若手よ、澤になれ!6月6日開幕のW杯カナダ大会に臨むなでしこジャパンは22日、24日のニュージーランド戦(丸亀)に向け、香川県丸亀市で紅白戦を実施した。練習前に佐々木則夫監督(56)は前日21日の実戦練習で澤穂希(36=INAC神戸)がスライディングしながらボールを奪取するシーンのビデオを見せ“オール澤化”を指示。伝家の宝刀「カミソリ・スライディング」など、球際への激しさを身に付けるよう厳命した。

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 佐々木監督は黙っていられなかった。この日の練習前、20分ほど費やし選手に見せたのは、前日の実戦練習の様子を編集したビデオだった。そこに映し出されたのは、最年長の澤が男子大学生相手にスライディングしてボールを奪うシーン。指揮官が「カミソリ・スライディング」と命名したレジェンドの専売特許だ。そして「オール澤化」を厳命した。

 「澤がこんなにやれてるのに、若手選手がやれてない。若手ももっと球際を激しくやれ!」

 確かに、36歳が中盤で攻撃の芽を摘むために何度も何度も体を張っているのに比べ、若手選手は遠慮がちだった。物足りなく感じるのは当然で、“澤ビデオ”で訴えかけるのが最適と判断したようだ。

 教材が良かったからか、この日は見違えた。主力と控えで対戦した紅白戦(約10分×2本)では、澤はもちろん、あちらこちらで滑り込んでボールを奪い合う場面が見られた。2本とも主力組に入った川村は、2本目で澤とボランチのコンビを組んだ。アピールするには今が正念場と自覚しているから「球際を強く、ボールを奪うところを出していきたいと思った」と隣にいるお手本に負けじと体を張った。

 これも全て佐々木監督の狙い通りだ。「チーム内で誰よりもスライディングが多い。90分間、最後の最後まで体を張っている」と評価し、澤を1年ぶりに代表招集した。さらにチーム内への影響力も大きいだけに、若手を意識改革させる教科書的存在にもなり得る。それを利用しない手はない。

 澤のような切れ味はまだなくても、今から研げばいずれ鋭くなる。背番号10の伝統芸の伝承が連覇への近道になる。

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2015年5月23日のニュース