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W杯冬開催 国内リーグに影響…Jも欧州も不安と怒り「FIFAと戦争」

[ 2015年3月21日 05:35 ]

FIFAの実行委員会後、報道陣に話すブラッター会長(AP)

 FIFAは19日、スイスのチューリヒで理事会を開き、22年W杯カタール大会の11、12月開催と決勝戦の12月18日実施を決めた。18年ロシア大会を含めてW杯は5~7月に行われるのが通例で、北半球が冬の時期に開催するのは史上初。6~7月の最高気温が40度に達するカタールの酷暑を避けるための時期変更だが、日本や欧州各国はリーグ戦の長期中断や大幅な日程変更を強いられることになった。

 FIFAの正式決定を受け、日本国内からも心配する声が上がった。代表選手はW杯開幕の2週間前から招集されるため、現状の春開幕ならJリーグを11月初旬には終わらせる必要があり、日程の大幅な前倒しが必要。また、Jリーグが将来的な移行を検討している「秋春制」でも1~2月が冬季中断期間となった場合、W杯前後で合わせて最長4カ月もの空白期間ができてしまう。

 広島の織田社長は「仮に(3月の開幕が)前倒しになれば寒い時期だからケガのリスクもあるし集客も大変」と懸念。「間隔を詰めると水曜開催を増やすことになり選手のコンディションが厳しくなる」と過密日程の影響も指摘した。Jリーグの村井チェアマンも「(11、12月は)日本のカレンダーはクライマックス。大きなインパクトになる」と当惑を隠さなかった。

 酷暑と22年2月の冬季五輪を回避する11、12月開催案は2月のFIFA作業部会で固まっていたが、欧州各国からも不満が続出した。スペインリーグのテバス会長は「国内リーグを乱し、深刻な影響を欧州の大会運営に与える」と失望を表明。長期中断はテレビ放映権の減額につながる恐れもあり、あるリーグ関係者は「FIFAとの戦争もありうる」と憤った。

 FIFAは20日、18年大会と22年大会について選手を供出するクラブに対し、それぞれ昨年のW杯ブラジル大会の3倍にあたる総額2億900万ドル(約252億8900万円)の収益分配をすると表明。リーグ戦への影響を減らすため決勝を当初案から5日繰り上げて12月18日とし、近年は31日か32日だった会期を28日に短縮する方針も示した。しかし、招致不正疑惑など問題が噴出した22年W杯開催を強引に進めるFIFAをブンデスリーガのラオバル会長は「カタール大会の決定そのものが重大な過失であり今後も深刻な結果を伴う」と厳しく批判。日本を含めた世界各国のリーグが大きな日程問題に直面することになる。

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2015年3月21日のニュース