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山東魯能移籍ブラジル代表FWタルデリ 王国復活キーマン

[ 2015年3月17日 08:19 ]

今年2月、中国の山東魯能へ移籍したブラジル代表FWジエゴ・タルデリ

 今月23~31日の国際Aマッチデーへ向けた各国代表が続々と発表されている。ドゥンガ監督(51)の復帰後に6戦全勝のブラジルは26日のフランス戦(パリ)、29日のチリ戦(ロンドン)に備えて23人を招集。今季、アトレチコ・ミネイロから中国スーパーリーグの山東魯能へ移籍したFWジエゴ・タルデリ(29)も選出された。現役ブラジル代表の中国移籍は初めてのケースで、中国リーグ所属選手の招集も初となった。

 今年1月、ブラジル国内を驚かせた海外移籍があった。現役代表2人の中国スーパーリーグ入りだ。クルゼイロのMFリカルド・グラールが中国史上最高額の移籍金1500万ユーロ(約19億円)で広州恒大へ、アトレチコ・ミネイロのFWジエゴ・タルデリは同550万ユーロ(約7億円)で山東魯能へ。欧州のクラブからもオファーはあったが、ジエゴ・タルデリが「自分や妻、子供にとって重要だった」と明かしたように、年俸400万ユーロ(約5億円)の条件は断れないほど破格だった。

 従来のブラジル人選手にとって欧州以外、特にレベルの低いアジアへの移籍は代表入りを諦めることに等しかった。中国クラブはブラジル選手の見極めが厳しい欧州と違い、20代後半の中堅選手にも高額年俸を支払うだけに「代表より金を選んだ」とみられても仕方なかった。しかし、今月5日にドゥンガ監督が発表したメンバーには、昨秋に引き続き、ジエゴ・タルデリの名があった。本人も「昨年は代表で良いプレーができた。中国にいたら代表に選ばれるのは難しいと分かっている。でもACLが良いリズムを与えてくれているし、代表入りが今の目標」と恩返しを誓っている。

 初代表は“第1次ドゥンガ政権”の09年秋。アトレチコ・ミネイロでブラジル全国選手権得点王に輝いた活躍が評価された。その後の海外移籍は鳴かず飛ばずだったが、13年に復帰したアトレチコ・ミネイロでリベルタドーレス杯優勝に貢献して復活をアピール。W杯ブラジル大会後、代表指揮官に復帰したドゥンガ監督に再び招集された。

 パワーやスピードに特筆すべきものはないが、常にポジションを変えながら巧みにボールキープするプレーが特長。センターフォワードを置かずに「連動した速い動きで相手を崩したい」というドゥンガ監督好みの選手で、FWネイマール(バルセロナ)の相棒として期待が高い。昨年10月のアルゼンチン戦(北京)では代表初ゴールを含む2得点。同月の日本戦(シンガポール)ではスルーパスでネイマールの先制点をアシストした。

 ◆ジエゴ・タルデリ 1985年5月10日、ブラジル・サンパウロ州生まれの29歳。サンパウロのユース出身で03年にトップチームでデビュー。05年にベティス(スペイン)、06年にサンカエタノ、PSV(オランダ)とレンタル移籍を繰り返し、08年のフラメンゴを経て09年からアトレチコ・ミネイロでプレー。11年にアンジ・マハチカラ(ロシア)、12年にアルガラファ(カタール)へ移籍し、13年にアトレチコ・ミネイロ復帰。代表通算9試合2得点。1メートル79、72キロ。利き足は右。

 山東魯能ではコンディションが整わず、低調なパフォーマンス続き。3日のACL全北(韓国)戦で右膝を負傷し、きょう17日の柏戦も欠場する。それでも「いつも僕に教訓を与えてくれる」と感謝するドゥンガ監督の下、来夏の南米選手権では“王国復活”のキーマンとなりそうだ。

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2015年3月17日のニュース