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長友 出ない“惨敗W杯の答え”だから「チームのため走る」

[ 2015年1月23日 05:30 ]

ドリブルする長友(中央)

 アジア杯連覇を狙う日本代表は23日、シドニーで開催される準々決勝でUAEと対戦する。22日に公式会見に出席したDF長友佑都(28=インテル・ミラノ)はW杯ブラジル大会での惨敗に関する質問を受け、20秒以上も沈黙。ショックを引きずっていることを隠さず、当面はW杯関連の発言を控える意向を示した。半年以上が経過しても心の整理はできていないが、目の前の戦いに集中して4強切符を勝ち取る。 

【アジア杯決勝トーナメント日程 日本代表メンバー】

 異例の沈黙が続いた。決戦前日の公式会見で、長友は「W杯で惨敗して世界で戦う上で何が必要と感じたか?」との質問を受けると「………」と20秒以上も黙り込み熟考。別の質問を受けていたアギーレ監督が見かねて「先に私が答えます」と切り出して場を収めるほどだった。指揮官が返答している間も一点を見つめたまま。再び回答機会が来ると「すいません」と声を絞り出し、複雑な心境を語りだした。

 「W杯の時の心境と次のW杯に向かう心境を話すのは難しい。そのことについてはいろいろと考えていますが、言葉を発するにはエネルギーがかなり必要。そこでエネルギーを使うなら、あす(UEA戦)のダッシュ1本に使いたい」

 本気で優勝を目指した14年W杯ブラジル大会は1次リーグで1分け2敗と惨敗。開幕前にはFIFAバロンドール(世界最優秀選手)を意識した発言もしていただけに、ショックは計り知れなかった。敗退決定翌日のザックジャパン解散会見では、人目をはばからずに号泣。「代表を引退する思いも出てきた。でも引退は逃げになる」と何とか力を絞り出し、次の一歩を踏み出していた。

 今大会は全3試合にフル出場。1次リーグのベストイレブンに選ばれる活躍で全勝突破を支えた。だが、W杯以前の気さくに取材陣に対応する姿はなく、無言を貫くことが増えた。冒頭のみ公開されたこの日の公式練習ではリラックスした表情でパス回しを行ったが、練習後の取材エリアでの対応はなし。何事にも真剣に向き合うだけにW杯関連の質問を受け、集中力をそがれることを避けるための行動だった。

 今大会で連覇を成し遂げたとしても、モヤモヤが晴れるような簡単な問題ではない。それでも長友は「いかにチームのために犠牲になれるか。チームのために走ることが今の課題。犠牲の精神があれば大事なところで最高のパスが来たり、ミスがミスでなくなる。だから、あす(UAE戦)もチームのために走ります」と前を向いた。一戦必勝を期して走り続けた先に、きっとトンネルの出口はある。 

 ▼長友のW杯ブラジル大会 全3試合に左サイドバックでフル出場。コートジボワールとの1次リーグ第1戦は本田の先制点をアシストする好プレーを見せたが、チームは1―2の逆転負け。続くギリシャ戦は0―0の引き分け、コロンビア戦は1―4と完敗した。長友は敗退が決まったコロンビア戦の翌6月25日のインタビューで言葉に詰まり、スタッフの肩に頭をうずめて号泣。顔を洗って再び対応し「この大会のために4年間やってきたのに、こんな一瞬で終わるのかと。代表を引退するという思いも出てきた」と代表引退まで考えたことを打ち明けた。

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