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八百長解任迫る…アギーレ監督 采配さえ連勝も“モヤモヤ”

[ 2015年1月17日 05:30 ]

前半、岡崎(手前)が倒され、吠えるアギーレ監督(中央)

アジア杯1次リーグD組 日本1―0イラク

(1月16日 ブリスベン)
 決勝弾が決まるとアギーレ監督は手を叩き、両拳を小さく握りしめた。テクニカルエリアの最前線で腕を組み、鋭い視線で戦況を見つめる姿は普段通り。試合後の公式会見でも「非常に難しい試合だった。勝ち点3を取れ、ケガ人が出なかったことは良かった」と平静を装ったが、胸の内は穏やかではなかった。

 スペインリーグの八百長に関与した疑いで、14日にバレンシア裁判所がアギーレ監督に対するスペイン検察当局の告発を受理。翌15日には日本協会の大仁会長が「アジア杯が終わりましたら協会の考え、対応を説明します。告発が受理されたことは重く受け止めないといけない」とアジア杯後の解任を示唆した。後ろ盾を失った指揮官は今大会限りでチームを去ることが決定的。日本協会が水面下で後任人事に着手する異例の事態の中での采配だった。

 この日も地元各紙には八百長関連の記事が掲載され「アギーレ監督」の名前が躍った。常に好奇の目にさらされ、試合に集中するのは困難な状況に陥っている。イラクは現役時代にメキシコ代表として出場した86年W杯メキシコ大会で1―0で勝利した相手。29年前と違い、純粋にサッカーと向き合える環境ではなかったが、自身の存在価値を証明するためベストを尽くした。リズムを失いかけた後半19分に遠藤、乾に代えて今野、清武を同時投入。その1分後に清武が決定機を演出して勢いを取り戻すなど采配はさえていた。

 2連勝で7大会連続の1次リーグ突破に大きく前進。アギーレ監督は「選手は非常に落ち着いていた。経験のある選手がしっかりチームを引っ張ってくれている」と騒動に動じずに結果を出したイレブンを称え「どの試合でもそうだが勝ちを狙っていきたい。勝ち点9を狙いたい」と20日のヨルダン戦を見据えた。指揮官を支えるのは、もはやプライドのみ。未来のない孤独な戦いは続く。 

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