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遠藤 逆風と濡れたピッチ利用“計算ずく”ミドルで口火弾!

[ 2015年1月13日 05:30 ]

<日本―パテスチナ>前半8分、先制のミドルシュートを決めた遠藤

アジア杯1次リーグD組 日本4―0パレスチナ

(1月12日 ニューカッスル)
 計算し尽くされた一撃が、連覇への号砲となった。0―0で迎えた前半8分、乾の横パスをフリーで受けた遠藤が、ワントラップでボールを持ち出し、ゴールまで約25メートルの距離から右足を振り抜く。「(逆風で)浮かないように意識した。下も濡れていたんで。コースが良かった」。風下、芝がスリッピーな状況から瞬時にグラウンダーのシュートを選択。飛び込んできた相手DFの股下を抜けたミドル弾は、ゴール左に吸い込まれた。

 4日の練習試合オークランド戦で新年の“初ゴール”を奪い、今度は国際Aマッチで正真正銘の15年1号をゲット。これがアギーレジャパンの公式戦初得点にもなった。指揮官の八百長関与疑惑という前代未聞の状況下で迎えた大会初戦、重苦しい空気を吹き飛ばした34歳349日での得点は、アジア杯の日本人最年長ゴール。さらに、この試合でアジア杯通算出場数が「18」となり、日本人史上単独トップに躍り出た。「長い間、代表にいないと記録は抜けない。うれしいですね」。後半13分に途中交代となると、スタンドからは大きな拍手が湧き起こった。

 今月28日には35歳の誕生日を迎える。昨季は所属するG大阪で3冠に貢献し、リーグの最優秀選手賞にも輝くなどフル稼働した。例年ならこの時期は家族と海外旅行に出かける時期だが、オフを10日間で切り上げて自主トレを開始。代表合宿前には「協会と話をしたい」と別メニュー調整を視野に入れていながら、初日からフルメニューをこなし続けた。全てはアジア杯で連覇を達成するため――。10日の選手ミーティングでは、同大会で勝ち抜く難しさを年下の選手たちに伝えるなど、チーム最年長としての役割を果たしてきた。

 本来のボランチではなく、代表で任されるのは2列目のインサイドハーフ。「ボランチより5メートルぐらい前にいるんで。その差は大きい」と自身の攻撃力を最大限に生かしている。そして、次の言葉に力を込めた。「チャンピオンにならないと、良いスタートを切っても意味がないんで」。頂点への戦いは始まったばかり。勝利の余韻に浸ることはない。優勝する難しさを熟知する司令塔は誰よりも冷静だった。

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2015年1月13日のニュース